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2006/11/01

理系用語で読み解く社会(1) 人間力学

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ほぼ均一な素材に対して全体に平均的に圧力や張力を与えたとき、
結晶欠陥や結晶粒界の微細なズレが破断のきっかけになるという。
これは材料工学の話。

中長期的な地殻変動が蓄積していった場合、その蓄積した力は地殻内の
弱い場所やプレート境界において短い時間スケールで発散されるコトが多い。
これは地震学の話。

スケールや素材の均質性では大きく異なるが、原因と結果は似たような形だ。
人間集団の話として読み替えてみよう。

学校や職場のイジメなどは微視的に見ればヒト対ヒトの問題だが、
巨視的に見ればヒト集団の内部応力が、ヒト集団の中の弱いポイントに
集中した結果として生じた現象と見ることもできる。
様々な規模で生じる紛争だって、ヒト集団間の問題ではあるが
やはり複数のヒト集団間の応力の集中と見ることができる。

あるヒト集団に対し、もし全体に平均的に圧力がかかったとしても、
その力が発散されるのは特定のポイントに集中する。
それは、人間関係が他より希薄な部分、他のヒト集団との境界、
あるいは周囲とは微妙に異なった性質の個人といったポイントだ。

ヒト集団に対する圧力が全くない状態なら、それでも関係を維持できるだろう。
しかし複雑な階層構造を成しているヒト集団の中で、ヒトは生まれて死に、
小規模な集団は生じたり消えたり結合したり分裂したりして、常に変動している。
内在する圧力あるいは張力は、完全に消えるコトがない環境である。

残念ながら、マントルが対流を続ける限り地震がなくならないのと同様に、
ヒトが生まれて死ぬ存在であり階層的な集団を構成する生物である以上
ヒト対ヒトの問題もヒト集団間の問題も完全になくすコトはできないようだ。

しかしヒト集団は、それぞれの構成要素が独立した意識を持っている。
喜怒哀楽の感情を持ち、苦悩の中で幸せを願っている。
その点において、素材や地殻とは違うはずと信じたい。

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