« 出張旅行記(3) 遡ること一千二百年の城 | トップページ | 画家は死して絵を残せるか »

2006/11/11

出張旅行記(4) 日本じゃぁ2番目の湖だった

20061111_s


自然の力に対し、しばしばヒトは能動的な働きかけを以て自らの生活を維持する。
ときには広大な湖を農地に変えてしまうほどに。

秋田県大潟村は「日本のオランダ」とでも言おうか。
琵琶湖に次ぐ大きさの湖、八郎潟をほとんど完全に潰して作られた人工の大地だ。

----
このときの秋田市出張は、散々だった。
アポイント調整にも手間取ったし、ようやくスケジュールが決まって
予約しようと思ったら秋田新幹線は満席だったし市内の宿も満室。
竿灯祭りの最終日というのを見落としていたのが迂闊だった。

やむなく空路で秋田入りしたが、市街地から遠い。
その日の訪問先は秋田市内と隣町。移動が多く疲労が溜まる。
なんとか仕事を終えて秋田駅の観光案内所で宿を確保したものの、
その晩にはホテルの部屋の鍵を抜きそこねて折ってしまった。
不注意だったから仕方なく自腹で修理代を出した。
いろいろあって、結局は祭りも見損ねた。

----
翌日のアポイントは午後からだったが、思い切って少し早起きをした。
通勤・通学客に逆行するように秋田駅から北へ向かう。
「井川さくら」などという妙な名前の駅の次、八郎潟駅で降りる。

駅前にはタクシーが2台。バス停はあるが、当分は来ないらしい。
地図によれば、ここから湖まで1.5kmほど。
天気が良いから歩いてみるコトにした。

田んぼの中の、ほとんど車も通らぬ道を歩くと、すぐ水辺が見えた。
湖の周囲、幅300mほど干拓されず残っているのが、まるで川のようだ。
そこに橋が架かっている。

対岸に渡ったところの十字路にはアイスクリームの屋台が出ていた。
店番をしていた若い色白の女性に、徒歩で来る人は珍しいと言われた。
まったくだ。

干拓地は道の両脇に背の高い防風林があるだけで、
他に日差しを遮るモノもないから夏は厳しい暑さになる。
軽トラがやってきて、夫婦らしき初老の2人がアイスを買っていった。

大潟村の道路は車道の整備状態こそ良いものの、ほとんど歩道がない。
防風林との間は草地。歩行者の存在を念頭に置いていないようだ。
冬は雪に埋もれるだろうし、夏でも歩く人などいないのだろうな。

道の両側に広がっているはずの農地は防風林のおかげであまり見渡せない。
ときたま防風林を突っ切って農地に入り込む脇道があり、その先は本当に広い。
次の十字路に出たら、日本の道だとは思えなかった。

時間がなくなってきたので、ここで引き返す。
後日、地図上で測ってみたところ、最初の十字路から2.3kmの地点だった。
防風林のおかげで風が弱く、正午に近い太陽が容赦なく上から照りつける。

再びアイス屋まで戻ったとき、パラソルの下で微笑む店番の女性が
天使のように見えた気がしたのは熱中症寸前だったからか。
とりあえず、その日2つ目のアイスを注文した。

|

« 出張旅行記(3) 遡ること一千二百年の城 | トップページ | 画家は死して絵を残せるか »