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2006.11.25

理系用語で読み解く社会(5) 相場が空を飛ぶ

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もともと航空機の専門用語だった「失速」という単語は、
すっかり経済用語として当然のように使われている。
航空機は鳥と同じく象徴として認識しやすいから、その用語も応用しやすいのだろう。

本来の意味では、対気速度不足や迎え角過剰などの原因によって揚力が不足し、
その結果として高度が下がったり姿勢が変化してしまうといった事象を表している。
速度を失うコトそのものではない。グラフの線が下降するのをなぞらえたか。

ちなみに、増速した結果として姿勢が変化して失速に陥るケースもある。
以前にも書いたフゴイド運動というのは、この失速状態が繰り返し生じる飛行パターンだ。
いろいろな形の紙飛行機を作っていくと、たまにこのような運動をするモノができる。

飛ばした直後、機種上げで上昇し、それにつれて減速して失速に陥る。
今度は機首下げ状態で降下して増速し、増速した結果として機首上げとなって
再び上昇していく。この繰り返しだ。上昇-下降の状態振動とも言える。

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失速状態では、ミクロに見ると翼の上の気流の流れが崩れている。

専門用語で「層流」と呼ばれる状態、すなわち気流が上下関係を崩さず
翼の上下を整然と流れている状態、これが揚力を発生する本来の姿だ。

迎え角が大きくなると翼の前縁で気流が剥離し、背面に回り込むような流れができてしまう。
こうなると揚力が生じなくなり、機体の姿勢も狂ってしまう。

社会が揚力を失うのは、内在する階層が剥離したときではないだろうか。
逆に、階層が固定化している状態は安定した社会と言えるのだろう。

ただしそれは、周囲の状況が一定であるならという条件に限られてしまう。
実際の空は、風洞実験の如く常に安定した気流の中を飛べるとは限らないのだ。

航空機によっては、高い迎え角の状態でも気流が剥離しにくいよう、
翼の上に小さな渦を作るような仕掛けを施しているモノもある。

あえて一部の層流状態を崩すコトで、全体が失速しないようにするらしい。
コントロールされた混沌で、全体の秩序を守るというコトになるか。

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