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2006/11/22

出張旅行記(5) 凍えそうなカモメ、いませんでした

20061122_s


出張の帰りに連絡船を使ったコトがある。
本四連絡橋のおかげですっかり存在感が薄れてしまったが、瀬戸大橋より少し東側の
高松港と宇野港を結ぶ宇高国道フェリーは、まだまだ地元では現役の交通手段。

すっかり夕方の時刻だったが、夏なので日は暮れていなかった。
高松フェリー港の狭い乗船待合室には、数人の客が待っていた。
ガラス張りで、海側に遮るものもなく、西日が暑い。

料金表を見上げると、通勤・通学用定期券の値段も書かれている。
待合室の外に原動機付き自転車を停めた若い女性の手に、一瞬それらしい紙片が見えた。
ルートや他の交通手段によっては船の方が便利なのだな。1時間の航路は寝ててもいいし読書でもいい。

待合室に接岸を知らせるアナウンスが流れた。
岸壁を見ると、ちょうど乗降ランプを下ろし終わって車が走り出していた。
ランプの前の待合レーンには、いつの間にか10台近くの車が並んでいる。

短い航路を往復するだけのフェリーは前後に乗降ランプが設けられていて、
前後どちらにも進めるよう推進器や操舵室も両方向に作られている。
鹿児島で乗った桜島フェリーも同じような構造だった。波の穏やかな内水域では割と一般的な構造らしい。

車は常に前向きに乗船し、前向きに下船するので時間の無駄がない。
桜島では徒歩客専用のボーディングブリッジが設けられていたが、ここでは徒歩でも車両デッキから乗る。
車両デッキから客席デッキへと鋼鉄製の階段を登る快い足音が響く。

客席は、けっこう広々としている。客が多くないから余計にそう見えるのかもしれない。
おかげで針路方向を見渡せる場所に座るコトができた。
西日に目を細めつつ、近づいては去っていく島々を眺める。なるほど、多島海だ。

到着した宇野港は静かだった。徒歩3分ほど離れたJR宇野駅も静かだ。
ダイヤを見ると本数も非常に少ない。本四連絡線の1/3か1/4くらいじゃないだろうか。
昔のざわめきは、どれほどだったのか。知らぬ者には想像し難い。

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かつて、氷河期には海面が低下し、瀬戸内海は湖になっていた。
そして多くの島々は、湖の内外に点在する山々であった。

日本の南方、今では東南アジアと一括りに呼ばれている地域でも、
現在の無数の島々があるあたりに広大な平原があった。

「スンダランド」と呼ばれるその土地は、一説によると
バナナやパンノキなど食用植物の故郷でもある。

バナナは1万年あまりヒトに利用されてきて野生種から大きく隔たった。
一方、パンノキは栽培されているとも野生とも言えない状態で利用されているのが現状。

集落の近くに植えるのはヒトの手によるものだろうが、それは勝手に育って勝手に実り、
放っておくだけで空腹を満たすだけの食物をもたらしてくれる。

昔のスンダランドは、どれほど暮らしやすかったのか。やはり想像し難い。

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