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2006/11/02

一“寸法”試論

20061102_
(写真は本文と関係ありません)

ちと重たい話が続いた気がするので軽くしよう。
先日、知り合いのカメラマンから「実は案外、小顔なんですね」と言われた。
女の子ならともかく、中年男にとっては嬉しくも何ともないのだが、
それはそれで合点が行ったコトがある。

身長160cm弱(厳密には158cmくらいか?)、体重55kg程度という小男でありながら、
しばしば周囲から「もっと大きいと思っていた」と言われる。
少なくとも、実測値より小さく見られたコトはない。
それどころか、20年来の旧友にさえ「これで160cmというのが信じられない」と言われた。

「短足なくせに背筋を伸ばして大股で歩いてるから」「態度が偉そうだから」などの
理由も考えられるが、体格と顔の比率がうまく合致していたというのもあるのだろう。
ヒトにとって他人は見慣れた存在だから、大きさを判別する際には
身体各部の比率も参考にするが、その判断基準が騙されるようだ。
ちなみに、今着ている背広のサイズタグには「胸囲92/胴囲80/身長170」とある。
既製品では肩幅が合わず、一回り大きなサイズから丈を詰めたと記憶している。
そういった安定感のある体形だから小さく見えない、という理由もあるのかも。

たしか大学の頃、「スケーリング 動物設計論」とかいう本を読んだ。
何年も友人に貸したままとなっているので詳しく紹介できないが、
完全に同じ比率のまま動物を大きくすることはできないといった内容だった。

仮に、各部分の比率を維持して(幾何学的相似形で)長さを2倍にするとしよう。
体重を支える骨の断面積は4倍になるが、体重に直接関係する体積は8倍。
骨に加わる圧力、すなわち断面積当たりの重量が2倍になってしまう。
だから大型動物では骨折しないよう足を太く短くせざるを得ない。
逆に半分の寸法にするなら、動物は1/2の圧力に相応しい華奢な骨や筋肉となる。
骨や筋肉を維持するエネルギーを節約した方が効率的だから。

160cmのヒトが、もし長さ次元で1.1倍となる176cmのヒトと幾何学的相似形ならば、
断面積1.21倍、体積1.331倍、圧力1.1倍で大した差にはならない。
一方、体重が1.331倍だと55kgが約73kgになるから結構な差と言えるが、
それでもヒトの標準的な代謝で対応できる範囲内だろう。大きな問題はない。

世の中、「だいたいこのくらいなら大丈夫」という範囲が、だいたいあるらしい。

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