« このクニのカタチ・続編 ニッポンのお役所仕事? | トップページ | 枯木に花は咲きません »

2006/11/20

どこにもないから"utopia"

20061120_epsn1858s


この世にないもの

バグも脆弱性も一切ないソフトウェア
いつまでも最先端の技術
どんな問題でも解決する魔法の粉末

間違いのない人間
欠陥のない社会
確定した未来

確実に泣ける小説
絶対に感動する映画
必ず笑えるバラエティ番組

知らぬ者のないウタ
誰もが知っている真実
どんな人にも伝わるコトバ

死ぬコトのない肉体
壊れるコトのないカタチ
損なわれるコトのない価値

匂いの真空パック
声の化石

将来の思い出と、あの日から先のアイツの人生。

----
幾度目かの命日に墓参しながら、そんなコトを考えた。
数々の思い出の中で、若いままのアイツだけがセピア色だ。
静かに墓石を濡らす冷たい雨の中、線香の煙が目に染みる。

てんで稼げず、七回忌さえ貧乏で諦めた甲斐性なしの夫。
お前さん、つくづく男運がなかったのだな。
でも、「薄幸の」なんて形容詞、お前さんには似合わない。いや、似合わせない。

許せとは言わないでおくよ。まだ今のところは。
そっちに行くのは何年先か分からないが、
愚痴は、そのときたっぷり聞いてやる。

心配しなくてもいい。こっちはこっちで、なんとかやってる。
生活は相変わらずギリギリだが、お前さんが最後に選んだ男は
そう簡単に死にゃしないし、もうちょい老けないと芽も出やしない。

ところで、そっちの酒は旨いかね?

|

« このクニのカタチ・続編 ニッポンのお役所仕事? | トップページ | 枯木に花は咲きません »