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2007.09.17

出張旅行記(11) 夜明けのサンライズ

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山陰地方への出張では、鳥取県には何度か訪れているのに
島根県には入ったコトがなかった(たぶん)。
米子市への出張の際など、境港まで足を伸ばしていたにも関わらず。

そんなトコロへ、松江行きのハナシが舞い込んだ。
一も二もなく飛びついたのは言うまでもなく、
「いっそ夜行で」というリクエストまで出してしまう始末。

まさかとは思ったが、その要望が通ってしまった。
乗ったのはサンライズ出雲。東京発岡山経由出雲行きの寝台特急だ。
(考えてみれば航空券の通常料金より安いし、宿代まで含めればもっと安い)

夜遅く、東京を出る。
個室寝台は、パノラマ窓つきカプセルホテルとでも表現すべきか。
とはいえ小柄な身体には余裕の広さで、その長さほぼ一杯に窓が広がる。

列車は東海道本線をひたすら下る。
走り出してしばらく、同行者と酒を酌み交わし過去の旅の話などする。
その後、愛知県に入ったあたりで酒が尽き、それぞれ個室に。

コンパートメントの明かりを消した途端、
車窓には外の夜の明かりが静かに流れるばかりとなった。
他の個室も明かりを消しており、目の前の線路まで暗闇が押し寄せてくる。

暗さに目が慣れると、背景にゆっくり進む雲がむしろ明るいのだと気付く。
前景には灯を消した住宅や倉庫などか、
四角い影がその白い雲を切り取っては走り去る。

時折、頭上で稲光のような閃光が見えるのは、
おそらく架空電線の切り替わりに生じるスパークであろう
と気付くにも時間が要った。

非日常的なパノラマに、しばし見入っていると突如、
これを一人ではなく、一緒に眺める相手が欲しい
という痛切な想いがこみ上げてきた。

と、枕元の棚に置いた鈴が、列車の揺れで小さく澄んだ音を鳴らす。
そうだったな。
少なくともアイツは一緒にいてくれている。今はこれでいい。

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結局、米原あたりまでは目が覚めたままだった。
興奮ではなく、醒めすぎていたようだ。
とうに酒も抜けていた。

その後、眠気が急に増してきて、ふと眠りに落ちる。

目覚めたのは岡山駅。
ここまで連結して走ってきたサンライズ瀬戸との分離作業で
少し長めに停車する。

まだ早朝。これからラッシュが始まろうという時間帯だ。
カーテンの隙間から見えたホームは、日常生活。
それを覗き見る室内は、まるで寝床の前に大画面TVを置いたかの如く。

岡山から線路は中国山地を登り、降る。
小綺麗な寝台に腰掛けていながら窓の向こうは深く険しい山の中。
これもまた、非日常感たっぷりの風景だなあ。

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