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2007/09/20

舫綱

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先日、丸ビルにモアイ像が展示されているというので見に行ってきた。
現代人による復元品だが、オリジナルと同じ素材や手法で作られた本物でもある。

環境考古学者の安田喜憲氏は、著書の中で
かつてモアイを作っていた文明は自然破壊によって滅んだと指摘している。

イースター島へ訪れたコトはないが、写真で見る今の姿といえば
一面の草原に覆われた山腹に目のないモアイが寂しく立ちつくす様子。
草原に立つモアイは、倒れていたものを後になって立て直したものだ。
かつてはサンゴ石と黒曜石の目を持っていたが、それも失われて。

モアイを作っていた頃のイースター島は森林に富んだ緑の島であったという。
森は住居や船、モアイを運ぶコロなど貴重な資源を提供し、農作や漁獲を支えた。

しかし人口増加によって乱伐が行われたのだろう。
いつしか森が失われ、そして森林とともに文明が失われていった。

船が作れない上に、森林からの栄養分が近海に行き届かず
まったく魚は獲れなくなる。表土が流出して農業も振るわない。
狭い島の中で食料の奪い合いが生じて争いになり、
崇める対象だったモアイは倒される対象となる。

そもそもモアイをラノララクの石切場から運び出すためのコロもなく、
遠くの島から船で得ていたサンゴ石も得られず……。

今の世の中に復元されたモアイ像は、
失った時代に対するイースター島の人々の哀惜か。
その反省を改めて今に伝えようとする努力か。
さもなくば、それこそ安田氏の警告するように
漂流しつつある世界を、小さな孤島の運命に結びつける綱なのか。

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