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2007.11.23

所持品紹介(10) メモリの奥深く、時間を止めたまま

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HP 200LXという往年の小型コンピュータがある。掌に載るほどの小ささながら
DOSベースとしてPDA的な機能を備え、Lotus123も搭載された多機能端末だ。
日本語化キットなどが登場したおかげで、日本でも一部のマニア層に売れた。

ほぼAT互換でフルキーを備えているし(テンキーもある!)、
データ通信カードでPHSなどと接続し、パソコン通信も可能だった。
後にはwebブラウザも登場したし、インターネットメールにも対応できた。

モノクロ画面で、CPU処理能力もメモリ容量も今のケータイに劣るほどだが、
その低スペックのおかげで呆れるほど電池が長持ちしたのを覚えている
電源は単三電池2本だけ。普段は二次電池を使い、予備的に一次電池で使った。

まあとにかく、いろいろと重宝した。
当時の文字主体のメールのやり取りには常にコイツを使ったし、
紙のメモや手帳なども持ち歩かないで済んでいたほどである。

しかしその後、新しい電話機への対応ができなくなってきたり、
データ量の増大に対応できなくなったり、いろいろあって使わなくなったが、
それ以来、再び紙の手帳やメモを持ち歩くコトになった。

それが部屋の片隅で埃にまみれていたのを、しばらく前に発見していた。
バックアップ電池も切れており、RAMディスク内のプログラムも失われていた。
感慨深く思ったものの、復旧には手間がかかるので、枕元の置物としていた。

先日、当時からの友人が引っ越しをして、同じ品を発掘したという。
たまたま電話越しに、その話を聞いて一緒に復旧を試みたところ、
思ったより簡単に元の環境を復元することができた。持つべきものは友である。

不揮発性フラッシュメモリカードの中には、過去の書き物が詰まっていた。
書いた当時の気持ちをなかなか思い出せないもどかしさを感じながら、
テキストビューワソフトの操作方法も思い出しつつ、貪るように読む。

大学時代に最初のノートPCを買って以来ときたま書き足していたメモは
妻と一緒になったあたりで途切れているが、今となっては貴重な記録だ。
なにしろ、当時の記憶は非常に曖昧なものとなっているのだから。

その後、妻の死後に書き始めようとしたらしい別のテキストもある。
が、かなり断片的で、ほとんどキーワードのみ書かれているような状態だ。
当時は記憶が鮮明すぎて、思い出すのさえ辛く、書けなかったのである。

今は逆に、記憶が失われたか封印されたかしていて、もはや書けないのだが。

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