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2007.11.20

半生紀(10) ザ・我ん慢

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その後、再び縁があって就職した。
会社を立ち上げるので、最初の社員になってほしいという誘いだった。

海のものとも山のものともつかぬ、まだ見ぬ会社に入ろうと決意したのは
半ば自暴自棄になっていたという理由もあるだろう。
実際、少しくらいのリスクなど大したコトとは思えなかったし、
後追いで死ぬ勇気こそなかったものの、いつ死んでも構わないと思っていた。

また、考えてみれば、誰かの下につくことが昔から苦手だった。
高校1年生、大学1年生でそれぞれ体育会系、準体育会系の部活に入ったが
どちらもきっちり1年で辞めていたのである。
逆に大学の研究室では1期生だったからか、OB会などで関係が続いている。

最初の社員となるのであれば、先輩など存在しない。といっても仕事など
ロクにできない身なので、後に上司が入ってくるという形になったりはするが。
それはそれとしても、会社員として長続きしないという確信があったので、
もし上手い具合に経営が安定したら身を引くつもりでいたし、社長にも伝えた。

が、結局ズルズルと続いた。

いろいろあって、正社員から契約社員、そして自営業へと立場の上では
後退していったものの、この会社に依存する形で仕事を続けていたのは事実。

あれから何年が経過したか。
気付けば会社が買収されるまで、社長を除けば唯一の創業時スタッフとして、
そこにずっと居続けてしまった。
買収の話を聞いた夜、よくもまあ最後まで我慢が続いたものだと一人驚いた。

大学の担当教官に始まり、最初に入った会社の専務、
次に入った会社の社長、そして、この会社を立ち上げた社長、
どの上司からも「打たれ強そうだ」と言われ続けた気がするが、
それは果たして当時からの性質だっただろうか。

違うだろうな。
この中身は、常に弱っちい世間知らずの男でしかなかったのだと実感している。

まあしかし、彼らの予言は正しかったのかもしれない。
というよりも、詰まるところ彼らのおかげで
こんな風になっちまったんじゃないかとさえ思う。
そんな話をする機会などあれば、「おかげさまで」と礼を言いたい。

ただし、少しばかりの皮肉を香辛料として利かせつつ、
あわよくば心に刺さる弾丸として放ちたいのではあるが。

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