半生紀(12) 夢、見れんでしょう
今年の初夏だったか、久し振りに妻の夢を見た。
アイツが夢に出てくるのは何年振りか。
そもそも普段の夢は、一人でどこか知らない場所を旅するような
内容のものがほとんどで、同行者がいるコトさえ珍しいのだ。
巨大なビルの谷間から、夢の中の二人の旅は始まった。
途中を端折って、日本のどこかの地方っぽい雰囲気の山の中の
国道とおぼしき広い道路の端に作られた歩道を、
二人で自転車に乗って走っていた。
細かな部分までは覚えていないが、景色も良く風も心地好く、
何よりも妻と一緒なのが楽しい、そんな旅路だった。
が、旅は何処とも知れぬ目的地に辿り着く前に、目が覚めて消えた。
時計を見たら7時だった。4時頃までは記憶があるが、
徹夜で仕事をしようとする意図に反してうたた寝していたのだ。
寝過ごしたなと思いつつ眠気覚ましにコーヒーを淹れ、
一服しながらケータイのニュースチャネルを見ていて、
なんとなく占いのコーナーを開いてみた。
「過去の恋を思いわずらわないで。未来を見つめて」という。
ならば今後は一人で旅を続けるのか、
それとも別の誰かと一緒に旅の終着点を目指せというのか。
なかなかに悩める朝であった。
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この後は現在となるので、ひとまずここで一区切りとする。
(今後は時系列を外した話題を単発で書き込むコトになるだろう)
後半は暗い話題ばかりで、いささか読み辛いものだったかと思う。
なので最後に少しばかり救いになりそうな言葉をいくつか記しておく。
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それでも今なお「死ぬまで生きる」と心に決めている。
普段はヘラヘラ笑って、少しくらいの苦労も楽しんで片付け、
ともすれば目の前の苦痛に落ち込みそうになったりするが、
自分自身だけの辛さなら、笑って吹き飛ばすつもりでいる。
読書や散歩や買い物の楽しみは、いつも変わらない。
気の合う友人と語らい、飲み食いするのも好きだ。
気まぐれな寄り道は生活の一部となっているし、
たまに生じるトラブルだっても自然な流れとして受け止めていたりする。
そして、ときたま銀の鈴を握りしめ、目を閉じて妻に語りかける。
この世界も捨てたもんじゃないぞ。
いつも新しい発見があるし、
新しく知るコトは、いつも喜ばしい。
だから、もうしばらく、こっちにいさせてくれ。
――と。
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