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2007/12/05

情操教育的ペット考・中編 食虫類と食肉類

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妻と同居を始めた頃には、フェレットも飼い始めた。
ほぼ全身が白いから「ノロイ」と名付けようと思ったりしたが、
凶悪というには程遠いくらい賢くないようなので違う名前にした。
例に漏れず行動が活発で悪戯好きであったが、飼い主たちがイライラしている
時など酷い目に遭わされたコトもあったのは、今にして思えば申し訳ない。

そのフェレットは、ハムスターと一緒に妻の死を見届けた。
妻の死後、そしてハムスターも死んでしまった後、
唯一の家族として3年くらいは一緒に生活していたっけな。
身体は小さいものの、餌やトイレ砂などで結構な費用がかかった。
収入が安定しない中、コイツを飼い続けるためにも稼いだ。

ある深夜、帰宅途中に近所の公園で、ソフトボール大の塊が動くのを見た。
小さな生き物ではあるが、見慣れぬ種類らしいと直感した。
近寄ってみると、なんとそれはハリネズミであった。
大きな生物が近寄る気配を察して丸くなって警戒音を出している。
鞄の中からタオルを取り出して針ごと包み、持ち帰るコトにした。

ハムスターのいたケージに入れてみると、どうも老いたハリネズミらしい。
顔や腹、手足など、露出している部分の皮膚が皺だらけなのだ。
逃げ出したか捨てられたか知らないが、日本の屋外では苦労しただろう。
ひとまずフェレット用の配合飼料を与えてみたが、ほとんど食わない。
やむなく、翌日さっそくミルワームを買ってきた。

野生の餌に慣れているのか、生きた餌には食いつきが良かった。
元の飼い主が見つかる可能性は低いと思いつつも、近所の動物病院や
ペットショップに伝えておいたが、案の定ナシの礫であった。
こいつも老衰のせいか、3カ月ほどでミルワームも食わなくなり、やがて死んだ。
ミルワームを買い続けていると経済的に苦しいなと思っていた頃だった。

野良のまま死んだ方が良かったのだろうか。それは分からない。
死ぬ前に、かなり弱って餌を得るコトも難しい状態でありながら
それなりに腹一杯食えたはずだし、暖かい部屋で過ごせたコトは
幸いだったと言うコトもできるだろう。逆に、最後の最後でヒトに捕まって
狭いケージの中で死ぬ羽目になった不幸を恨んでいるかもしれないが。

ハリネズミの死も見届けたフェレットは、4歳の頃に死んだ。
フェレットの寿命としては、少しばかり早い死だったようだ。
とりたてて太りすぎたり痩せすぎたりしていたワケではないし
(日本に輸入されるフェレットは去勢されているせいか太りやすいらしい)
それまでは特に何かの病気に罹ったコトもなかった。

ケージから部屋に出して運動させていたとき、あまりに悪戯が過ぎるので
手近にあった棒で叩いたら目に当たって怪我をさせてしまったコトはある。
その怪我は間違いなく視力に障害を与えたが、生命に別状のない範囲だった。
少なくとも、それはずいぶん前のコトだったから、
今になって急に衰弱してしまうような原因とは考えにくい。

彼は、ただ急に食欲を失い、だるそうにハンモックで寝るばかり。
行きつけの動物病院で診察を受けても原因は不明。
入院させたものの、そのまま衰弱し続けて永眠した。
死ぬ少し前の日、ケージを見舞った際、声を掛けると少し目を開け、
なんとか飼い主の方に頭を動かそうとしていた姿を思い出す。

これまで、飼ってきたペットのほとんどは実家の庭などに自ら葬ってきたが、
このフェレットだけは、動物供養をしてくれる寺を見付けて火葬に付した。
それ以来、今のところ家族はない。

白木の箱に収められたフェレットの骨壷は妻の位牌の隣に、今もある。

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