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2008/01/24

電話男

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ある休日、私鉄電車の都心側の始発駅で電車に乗り、
席が埋まっていたのでドア際に立って発車を待っていたら、
背の高いヒョロヒョロした30絡みの男が目の前に飛び込んできた。

その動作に、ちょっと違和感があったので見上げてみれば、
右手でケータイを耳に当てて通話しているではないか。
ただ、左手で口元を抑えているから、一応は周囲を気にしているらしい。

というか、周囲の視線を気にしすぎてオドオドした様子にも見える。
それゆえ却って周囲の注目を集めているようにも思えたりするが、
周囲の乗客は男を気にしつつも、あえて見ぬフリをしているようだ。

ヘラヘラと薄笑いを浮かべたように見える無精髭の口許や、
焦りを示すどころかむしろ弛緩しているような身体の揺れなど、
その男の表情や態度からは、特に切迫した様子は伺えない。

急いでないんだったら電話を切るか
電車を降りて堂々と喋ったら?
とか思ってみたりもする。

さらに後から乗り込んできた家族連れは、
小さな子供たちがハシャいでいるのを母親がしばしば咎めている。
「うるさい!迷惑でしょ!」

そんな様子を目の前にしている男が、果たしていつまで
電車内で通話し続けるのかと少しばかり気になって
じっくり観察していたら、すぐに親子連れは降りていった。

それでもなお男は電話を続けていた。
目は泳ぎ、体の向きは頻繁に変えて、まるでそうすれば
周囲の視線を逸らせるとでも思っているかのように。

モゾモゾと動きながらも続けられた電話は、
隣の県の中規模の市に差し掛かったあたりでようやく終わった。
都心の始発駅から30分くらいだったろうか。

少し離れていたから声は聞こえず、どんな内容だったかは
当然ながら知る由もないが、よくもまあ喋り続けたものである。
電話を切った後、画面をチラリと見たのは通話時間を気にしたものか。

すぐ次の駅で降りてしまったので、その後の様子は見ていない。
もしかしたら、多くの客が降りた後の空いた席に座り、
何事もなかったかのように寝ていたりしたかもしれないが。

これがあのKYてヤツ? それとも新種の何か?

少なくとも、古い日本人が高い確率で持ち合わせていた
何らかの思考要素の一部が、この男には存在しない、
というコトだけは確信したが、それはいったい、何なのだろう。

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