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2008.02.04

理系用語で読み解く社会(18) 持続可能な循環型組織に役立つ省エネ型脳味噌

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「なじみの道は、粘性の高い流体の中を粘性の低い流体が一筋通っているようなものだと言えよう」
(ユクスキュル/クリサート「生物から見た世界」、日高敏隆・羽田節子訳、岩波文庫)
生物の脳は、この低い粘性の液体の中を移動ルートとして自然に選ぶようにできている。
「抵抗の低いところ」とか、「エネルギー準位の低いところ」とか、言い換えても良かろう。

たいていの場合、生物にとっては「思考能力のエネルギーを節約する」のが基本らしい。
「なじみの道」を選択すれば、新たな道を探るための思考能力を節約できる。
動物は思考エネルギーの無駄遣いをしないよう設計されていて、
その基本設計は、ヒトであろうと大した違いはないのである。

この考え方は、実は非常に多彩な範囲に適用するコトが可能だ。
すると、世の中ホントに思考能力の省エネが進んでいると分かる。
たとえば、「キレる」という行動パターンは、沸き上がった怒りを抑えるための
「余計な」考えを節約している、というふうに分析するコトが可能だ。

古紙配合率偽装が発覚した結果、グリーン購入法を厳密に適用したら紙を買えない、
と一部の役所で困っていたそうだが、これもまた、しっかりと節約された思考なワケで。
「これを機に、紙を使わず済にむような仕事のやり方に変えていくべきではないか」
……とは誰も言い出さないのだ。たいていは。

紙の文書を手作業でFAXしてやり取りするような「なじみの道」から脱していれば、
もしかしたら1枚の大事な情報が抜けてしまうようなコトもなかったかもしれない。
まあしかし省エネ思考回路であれば目の前の問題以外を意識するコトはないので、
「改善策として、抜けのないようにFAXします」なんて言い出しそうで心配だけども。

こういう考えも、所詮は単なる省エネ思考であり、特に悪意があるワケではないのだとは思う。
でも世間からは、「効率の悪い業務を続けてまで職を確保したいのか」って批判されそうだ。
ここで、「そんなコトではエコロジーならぬエゴロジーではないか」
とか駄洒落を言ったりするのは、流石に省エネに過ぎるかな。

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