« 理系用語で読み解く社会(18) 持続可能な循環型組織に役立つ省エネ型脳味噌 | トップページ | 門前の小僧、習わぬ社会制度を読む? »

2008/02/05

あゝ精神論! 言の何ぞ既に古くして、事のなほ今に新しきや

20080205_r0010958s


「あゝ鉱毒問題! 言の何ぞ既に古くして、事のなほ今に新しきや」
(荒畑寒村「谷中村滅亡史」岩波文庫)という言葉の使い方が気に入ったので、
今回は、少し言い換えた上で、ソコへ落としてみる。

----

最初から信じてなかったのなら、裏切られても「しようがない」と諦めがつく。
しかし、「信じていたのに裏切られた」というような感覚は、
ほぼ確実に非常に強い嫌悪感となって表れてくるものである。

たとえば「ヒトビトの善意」に強く依存するマナーを期待してみたり、
職業的な倫理観という曖昧な認識を「社会的信用」としてみたり……。
そんな、過去の社会で培われた考え方の多くが、今の社会では揺らいでいる。

特に後者の問題が扱いやすいので、ソコを注視する。
高い倫理観を前提とし、「聖職」とさえ呼ばれたような公共性の高い職業の多くで、
「そうでもない人」が数多く存在しているというコトが分かってきた。

当然、前提とされた倫理観をアテにした仕事を、彼らは行っている。
だけど、社会から担わされている期待感を、たまに崩してしまう事件が発生する。
そして大きな社会問題に発展したりして、その後始末は容易ではない。

問題解決のためとして、しばしば厳しい制裁を伴う規制が加えられたりするから、
旧来と変わらず高い倫理観を以て取り組む人たちにとっては業務上の負担が
増える一方だ。しかも今の世の中、右肩上がりでは到底ない。

だから給料は、たとえ「聖職」であろうと、ほとんど上がらない。
その中で、社会からの風当たりと職業上の規制とが、ただ厳しくなっていく。
てなワケで、仕事しづらさは、相乗効果で悪化していくばかりである。

いっそ、彼らに対する社会の期待感を完全に捨て去って、
その代わりに規制でがんじがらめにしてやって、さらに実績を明快な基準を用いて
判定した上で、相応の報酬を与える仕組みを作るという手もあろう。

また逆に、業界内での相互監視や外部からの通報制度を強化して、
その代わりに規制を弱めるなどの方策も考えられるだろう。
こんな取り組みは、「サムライ業」系など一部の職業であれば有効ではないか。

何にせよ、現状と「あるべき姿」「社会から期待される姿」をしっかり見極めて
そこへ向かっていく道筋を丁寧に作り上げていくなら、効果的な対策はあり得るだろう。
逆に、倫理観だのという精神論ばかり言い合ってたって駄目だ、と思うのだな。

精神論などは大戦末期の日本軍がよく使ったようだけれども、
よーくみれば取り繕いようのない失敗を認めてるだけである。
故事成句を借りるなら、「恥の上塗り」とか、そんな具合か。

小さな組織だって大きな組織だって、ヒトがカタマリで行動していれば、
得てしてどっかしら問題が生じて、放っとけばそれが拡大していく。
だから適宜、大なり小なりの改革を行って、対策を絶やさぬようにする。

精神論が台頭するのは、そうした具体策が尽きたコトを意味しているのだ。
というのも、具体策があって、それが効を奏するであろうと予測できるならば、
そんなトコロに手を出す以前にやるコトが見つかるから。

もっとも、組織内に権力があって手持ち無沙汰で、
しかも自分以外のハナシを聞かないようなヒトがいたりすれば、
また違ってしまうのだろうけど。

|

« 理系用語で読み解く社会(18) 持続可能な循環型組織に役立つ省エネ型脳味噌 | トップページ | 門前の小僧、習わぬ社会制度を読む? »