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2008/03/18

科学系ヨタ話(6)  exoteric japan

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先端的な分野の研究や技術、産業などに関して、
「オールジャパン体制でなければ勝てない」
という言い方が、よく聞かれる。

まあそうかもしれないな。世界の中では。
数十億人の中の1億人強というコトは2%くらいだ。
その中で、さらにバラバラにやっていては影響力も弱くなってしまう。

実際、過去の反省もある。
国があまりに無策で、国内の技術シーズが各個撃破の対象になったり、
人材の流出が生じるなど、不利な面があったのも確実である。

ただ、個人的には妙に引っ掛かるトコロがある。それは何だろう。

まずは、コレを「挙国一致体制」などと呼んでしまうと、ちょっとアレだ。
まだ国策というものに対する懸念は完全に払拭されたワケじゃないし。
そして、「誰が勝つ」でもないんじゃないかという考え方もあるだろう。

「科学技術は国の礎」だというのは昔から変わらない。
そのための教育も欠かせないのは一緒。だから、やはり昔から
国力のバロメーターとして識字率が用いられていたりするのだ。

それはそうと日本の政策って聞くと、なんかね。
特に科学技術や文化育成といった分野で。昔からアレだ。
官僚主導でやってしまうと失敗するんじゃないかという現実的な懸念が残る。

結局、日本が「最適化」や「マネジメント」を不得手としているコト、
特に官製事業において、そういった点をこそ懸念しているのであろう。
「あいつらに任せたらフネも山に登ってしまう」的な懸念。

フネといえばTSLなんてのもあったっけ。
燃料費高騰で小笠原航路への就航はキャンセルされたし、
静岡県で実運用されていた実験船も運行停止となったようだ。

あのフネも技術的には、いろいろな挑戦をしたと聞く。
けど、飛躍しすぎていて、運用の見通しが甘かったのだろう。
一方、青函航路には豪州製の高速船が導入されて好評を博している。

もっと前には貨物船の補助動力に帆を使ってたりもしたな。
アレは何隻か作られたのだっけか。でも今はない。
かつての原子力実験船も通常動力に改造され、海洋調査船になっている。

フネの分野に限ったって、これだけ出てくるのだ。
飛行機だってロケットだって原発だって、およそ官僚主導の
科学技術系プロジェクトにおいて、似たようなネタには事欠かない。

もちろん、こうした実験を通じて、いろいろと蓄積された技術はある。
そう聞いているし、詳しく調べていくと、実際にそうだと分かる。
でも世間一般には、とても簡単に理解できるカタチではない。

多くの場合、コストをかけただけの勉強はできたのだ。
けど、それが直接はカタチになっていないから、そのせいで
実績をアピールするには非常に弱い結果となっただけ。

だけ、の結果なのだけど、要するにそれが、
他の立場の人たちにとって不信感を拭えるだけの
説得力を全く持たないというワケ。

「そもそも営利企業にできないコトを官がやる」という反論もあろう。
たしかに民間企業では利益が見込めない研究に対するコストは払えない。
だから公共的R&D投資という政策も間違いではない。

でも税金を払っている国民からみれば、結果が見えてこないのは困る。
公的機関が特定企業への過剰な肩入れは避けねばならないのは当然としても
もっと融通を利かせて俗っぽくやってくれてもいいんじゃないかな。

独法化で国立研究機関もコストメリットが期待されるようになってきた。
ようやく一部の独法研究機関で、より効果的な産学官連携を模索し始めた。
これから、その手法が洗練されていくことを願うばかりである。

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