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2008年8月

2008/08/31

サーバのキモチ? 410 Gone

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あ、ここは……

過去にオブジェクトが存在していたコトは間違いないのですが、
今は跡形もなくなっています。

どこかに移動したのかもしれませんが、その行き先は分かりません。
サーバにとっては、「永久に失われた」というトコロです。

……おや、一つだけ、メモ紙オブジェクトが落ちていましたよ。

「さがさないでください」だそうです。

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2008/08/30

サーバのキモチ? 409 Conflict

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こちらの準備ができていないトコロに、
モノを置こうとしてませんか?

相手が人間なら、多少は融通が利くので
そういう無茶も通るかもしれませんが、
サーバは機械なので、さすがに無理です。

ていうかむしろ、人間相手でも
無遠慮とか言われたりしそうですが、
まあそのあたりは、相手のキモチを
きちんと見極めるようにした方が良いでしょう。

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2008/08/29

サーバのキモチ? 408 Request Timeout

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いくら待っても会えない待ち人。
その人はきっと泣いてもわめいても来ない。

だけど、日を改めて尋ねてみれば、
ひょっとしたら会えるかもしれない。

でもやっぱり、待てど暮らせど
その人は来てくれないのかもしれない。

とはいえ、待つのを諦めた瞬間、
「来なかった」コトが確定してしまう。

「待ってるのをやめたとき
来てしまうコトもよくあるハナシで」

とかいう歌も、あったような、なかったような。

そこが悩みどころなんだよね。
引き際が肝心なのかもしれない。

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2008/08/28

サーバのキモチ? 407 Proxy Authentication Required

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中の人を名乗って、いきなり呼び鈴や電話を鳴らす人が増えてますよね。

「消防署の方から来ました。消火器の点検に……」
「国税庁ですが、税金の還付があるのでATMへ……」

こういうときは、本当に中の人かどうか確認しましょう。
でも最近は、本当に中の人であることを確認するだけじゃ足りないコトも。

「現役警察官ですが、この祈祷は効きますよ……」

まあそういうときはご自分で判断してくださいってコトでしょうかね。

以上、サーバからのアドバイスでした。

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2008/08/27

サーバのキモチ? 406 Not Acceptable

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「こんなもん食えるか~~!」
と、たまには言いたいコトもあるでしょう。

ええそうですとも、
サーバも、そう言いたくなるときがあるのです。

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そういえば、このブログも再スタートから1年経過。
よくもまあ1年間、これほど書き散らかしたものだ。

「こんなもん食えるか~~!」
と、(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)

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2008/08/26

サーバのキモチ? 405 Method Not Allowed

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仕事を依頼するための連絡手段は、状況に応じて使い分けるのが得策です。

例えば、相手の人が出張中だったらFAXで連絡つけるコトはできないでしょう。
空路移動中には電話だって通じませんから、留守電かメールを使うワケです。
逆にメールを見ない休日には、どうしても捕まえたければ
電話をかけて呼び出すのが適切な方法でしょう。
(なお、こんなときにはもしかしたら休日料金を加算される可能性もあるけれど、
電話の第一声の印象によっては、ひょっとしたら許されるかもしれません)

要するに、いわゆるTPOってヤツですよ。
余計なトラブルの原因になるようなコミュニケーションの失敗は
ちょっとした工夫で避けるコトができるんです。

サーバも、基本的には変わりませんから、仲良くしましょうね。

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2008/08/25

サーバのキモチ? 404 Not Found

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あれ?
おかしいな。
たしか、ここにいたはずなんだけどなあ。

まあいいや。
またしばらくすれば、
似たようなのが現れるかもしれないし。

……現れないかもしれないけれど。

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2008/08/24

サーバのキモチ? 403 Forbidden

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お客さん、そこは立ち入り禁止ですよ。

無許可で勝手に入ってきたくせに、
何もないからってブーブー言わないでくださいね。

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2008/08/23

サーバのキモチ? 402 Payment Required

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我々サーバを維持するためにコストを払っているので、
それをクライアントの皆様にも分担いただきたい、
と考える管理者も少なくないのです。

なので、ここでは先払いでお願いしますよ。

と言いたいトコロなのですが、
この機能は未実装なのだそうで、
残念ながら使えませんでしたとさ。

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2008/08/22

サーバのキモチ? 401 Unauthorized

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クライアントに応じたサービスを提供するためには
誰が誰なのか、ハッキリさせておかねばなりません。

お客様、こちらにご署名とご印鑑をお願いします。
顧客リストに登録された仕様に沿ってサービスいたします。

もっとも、その顧客リストが正しいかどうかなど
サーバのお仕事には関係のないコトなのですけどね。

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2008/08/21

サーバのキモチ? 400 Bad Request

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投稿件数400件到達記念に
400番台のステータスコードを
いくつかネタにしてみるコトにした。

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こっちが持ってない機能を要求されたって、
それを実現してあげるコトはできません。

だのに「カネを払っているのはこっちだ」などと
無造作に言い放ったりするクライアントもいます。

でもサーバですから万能じゃないのです。
偉い人にはそれが分からないのでしょうか。

きっと発注先を間違えているのですから、
要求内容に合った相手のトコロへ、どうぞ。

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2008/08/20

自称逸般塵の不通の日記(21.5) つまるところ、つまらないハナシではあるので

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「出歩きもしねぇ愚者は、ただの愚者だ」
と。

いうワケで、暇を作って散歩でもしてこよう。
いろいろ愚者愚者になってしまう前に。

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2008/08/19

自称逸般塵の不通の日記(21) 徘徊オジサン

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「人生の主人公」というのは、どうも得意じゃないように思う。
どっちかというと、他人の人生の重要な脇役、といった風情だ。

ていうか、主人公になろうと目指すたびに失敗して痛手を受けて
それでも懲りずに他の方向性を目指してみても、また失敗したり。

まあなんというか寅次郎的な中年になってきてしまった気がする
けど、それをアタマでは分かってるけど納得しきれていないのか。

しかしそれだからこそいろいろと暴れ回る気持ちの動きがあって
やもすれば単調になりかねない日々の生活に刺激を与えてくれる。

……とでも思うコトにしておこう。そうしよう。

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2008/08/18

水は高きより低きに流れるもの

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戦争も非対称
経済も非対称
情報も非対称

ていうか、たいていは一方通行なワケで。

わかっちゃいるけど、なんだかなあ。

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2008/08/17

押し出す仕組み

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水道の蛇口を捻れば水が噴き出すのは
ポンプ場で配管に圧力をかけて送り出しているからこそ

都市ガスはそれより低いくはあるけれど
配管をガスが流れるのに必要なだけの圧力がかかってる

電気はちょっと違うように思えるかもしれんが
やっぱり電圧がかけられているからこそ使えるものだ

してみると社会インフラというのは
すべからく圧力をかけて送り出されているものらしい

きっと情報というのも似たようなものなのだ
与えたい側の圧力がかかって世の中に送り出されている

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2008/08/16

本当は誰かに「それでいいよ」と言われたいキモチ

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普通でいいんだよ。
幸せでいてくれれば。
それが何故幸せなのかを
納得した上で堪能していられるなら。

幸せであるコトを理解するためには
それなりの経験が必要だし、
ひとかたならぬ紆余曲折もあるだろうけれど、
乗り越えれば、その先は、変わってくる。

幸せというものを、誰かがどこかで生産して
流通させて、そして家の近所で買えるような
ものだなんて思ってなければいい。
そりゃぁ、きっと、偽装だから。

まあそれでも、
度を越したりしなければ、
幸せを夢を見るくらいは構うまい。
勝手に見る夢ならタダだから。

……などとは誰も言ってくれないもんだから、
仕方なく自分で自分に許しを与える日々。

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2008/08/15

自称逸般塵の不通の日記(21) 曇天の霹靂

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精神的にも肉体的にも疲労が蓄積していて
仕事がロクに進まないようなときに限って
PCがトラブルに見舞われてくれたりするのは
マーフィーの法則通りと言えばそれまでか。

周囲の援助もあって、どうにか仕事は継続
できるような状態になってきたけれども、
一部のデータが失われてしまったのが口惜しい。

PCトラブルなど何度も経験してきたから
データ分散化など多少の策は施していたが
それでも盲点があった点は反省せねば。

取り戻せないデータを嘆くのではなくて
同じデータを新たに作り上げるような
そんな前向きさがあればとは思うけれど、

失われた部分は大したデータ量でもなくて
むしろちょっとした情報でしかないのだが、
日常の蓄積で作ってきたものだけに難しい。

おかげで数日ほど、気力も損なわれていた。
しかし時間は待ってくれないので致し方なく。

それにしても。

人それぞれ大事なモノゴトは多々あるけれど、
いつそれが失われても嘆くコトのないよう
心の準備くらいはしておきたいところではある。

まあ、そういうのができないからこそ
土壇場になって嘆いたりするのが
人間というヤツなんだけれどもね。

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2008/08/14

試小説(2.7) 羨ましいよ太郎・後編

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と、遠くから車のエンジン音が響いてくる
それを聞いた子供たちは急に慌て始めた

「大変だ。車が来たよ」
「太郎、道路から離れな。見られたらいかん」
「こっち! こっから山登ってけ」

舗装道路の脇の枯れ沢に太郎を引っ張り込む子供たち
その慌てぶりに驚きつつも従う太郎

「車は危ねのか」
「大人が乗ってる。太郎が見つかったら危ね」
「あれ? あれ、警察の車だ!」
「警察? どんなだ?」
「バカ、太郎、頭上げちゃいけね」

すると車のエンジン音が高まり
速度を上げて太郎たちの方へ迫ってくる

「見つかった!」
「太郎、もっと山の上に逃げな。車は山を登れんから」
「お前ら、どうすんだ」
「おれたち悪いことしてね。大丈夫だ」

だが太郎は少し奥へ向かったものの、すぐ振り返って言う

「怖がってるお前ら、置いてけね」
「だ、大丈夫だって」
「警察は太郎を探してるんだよ」
「そうだよ、おれたちじゃね」

そうこうするうちに車は枯れ沢のところで急停車し
警部と警官たちが一斉に降りてきた
全員が右手に短銃を構え太郎を狙おうとしている
子供たちは青くなって叫ぶ

「鉄砲で狙ってる! 逃げぇ!」
「殺されてまうよ! 伏せぇ!」

しかし警部は発砲命令を出さず
呆然と立ち止まったままの太郎に
短銃の狙いを定めたまま叫びかける

「持っているものを悉く下ろし両手を上に挙げよ」

太郎は箱と釣り竿を足許に置いて手を挙げた
すかさず警部の命令で2人の巡査が太郎に駆け寄る
子供たちは身が竦んで動けないまま
太郎をじっと見つめるばかり

「不逞の輩め、観念しろ」

2人が両脇から太郎の腕を押さえつけて
その懐や帯回りなどをまさぐる

「腰に刃物。不法所持だな」
「おらの小刀だ。魚を捌くのに使ってる」
「身分証は不所持か」
「みぶんしょなんて持ってね」
「身許を示すものもないのか」

さらに警部が短銃を突きつけつつ近付き詰問する

「貴様何者であるか」
「おら、太郎だ」
「何処から来た」
「浦島ちう村だ。ここのはずだが」
「ここは浦島ではない」
「よく分かんねが、でもここだ」
「何の目的で来た」
「家に帰るんだ。漁に出たら竜宮城まで行ってしまって遅くなった」
「仲間は他にいるのか」
「漁はいつも一人だ。家には父ちゃん母ちゃんがいる」

さらに警部は地面に置かれた竿と箱を調べ始める

「これは釣り竿だな。就漁許可証はあるのか」
「きょかしょは知らね」
「不所持か。では、この箱には何が入っているのか」
「知らねが大切なもので開けられね」
「貴様本官を愚弄するか」

警部は玉手箱の紐を解き蓋を開ける
その中を覗き込んだ警部は
濛々と噴出してきた煙にむせ込み
慌てて後ずさる

「こ、これは一体何だ。貴様は敵の工作員であるか」

だが太郎の返事はない
先ほどまで2人の巡査が両脇から固めていたはずの
太郎の姿は煙の中に完全に没していた

「うお! 此奴、逃げる気か」
「離さぬぞ!」

だが、数瞬して風が煙を流し去る頃には
太郎の姿は完全に失われていた
竜宮城で過ごしたはずの歳月の代償として
風化して煙とともに散っていったのである
竿や着流しや小刀など彼の持ち物も完全に霧散し
後に残るのは空の玉手箱だけ
このとき港にあった太郎の小舟もまた消え失せたという

子供たちには、その煙の中に太郎の笑顔が見え
そして彼の声が聞こえた気がした

「おら、こんな時代まで生きてちゃいけねかった」
「大変な時代だけど、お前ら達者で生きろ」

その後、警官たちに酷く叱られた後に親に引き連れられて
夕方のアスファルトの厳しい照り返しの中
とぼとぼと帰宅しつつ子供たちは思うのであった

「あんなに苦しまねで死ねるなんて、羨ましいよ。太郎……」

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2008/08/13

試小説(2.3) 羨ましいよ太郎・中編

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大人たちの説明を聞いた巡査は不安になって
応援を呼ぶため本署に電話をかける

「不審者が海から入り込んだらしいであります」
「村の者によれば数人は乗れる船らしいであります」
「大至急応援をお願いするであります」

子供たちに連れられて裏山への道を上っていく太郎
ふと振り返れば港と集落が一望できる

「やっぱりここはおらの住んでいた村だ」
「だが太郎みたよな人、おれたち知らねぞ」
「たまたま景色が似てるだけじゃねのか」
「いや間違いね。この山道もあの岬も覚えてる通りだ」
「本当か」
「あの山の向こうには別の島があるだろ。だから浦島だ」
「うん。島はある。だが何で太郎は警察も知らねんだ」

ふと一人の子供が言う

「ひょっとしたら太郎は兵役に行ってたか」
「へえきって何だ」
「へえきじゃね。へいえきだ」
「たいてい大人になるといくさに出るんだ。2年か3年くらい」
「長い人は5年も10年もだ」
「おらの村にいくさなんてね」
「いくさは遠い南の方だ」
「ここの村の人もいくさに行くのか」
「そりゃお国を護るのだから」
「だのに遠くまでいくさに出ないといけねのか」
「お国の発展のためには南方の資源が欠かせないんだよ」
「ここでとれるものだけじゃ足らねのか」

警察から応援の人員を乗せた車が駐在所の前に
けたたましい急ブレーキの音を立てて停まる
その後席から出てきた警部に巡査が敬礼する

「不審者は何処に向かいしや」
「只今自警団数十名が鋭意捜索中であります」
「よろしい。ならばひとまず駐在所で待つとする」

裏山の中腹で広い舗装道路を横切る太郎と子供たち

「こんな広くて固い道、何ぞバケモンでも通るのか」
「あっちは兵器工場。鉄砲とか、大きな戦車とか、いろいろ作ってる」
「ウチのお父ちゃんそこで働いてる」
「おれの兄ちゃんもだ。職人だから兵役より工場でお国に役立つんだって」
「へぇき? せん、しゃ? まるで分からね」
「いくさに勝つための武器さ」
「槍や弓矢とは違うのか」
「もっと強い。鉄砲は弓矢より遠くの敵を倒せる」
「それはおそろしや」
「鉄砲の大きいのが大砲。敵の砦を打ち崩すんだ」
「とんでもね」
「その大砲を積んで走り回るのが戦車だ。すごく強いんだ」
「いくさ場にそんなバケモンがいたら、死んでも行きたくね」
「そんな弱虫では国を護れね。おれたち勇敢な小国民だ」

自警団の連中は2~3人ずつ徒歩や自転車で村中を走り回り
各戸で聞き込みをしつつ不審者を探し求める
そして山に近い村はずれの畑にいた老婆の目撃証言を得た

「怪しい人や変わったことはなかったか」
「さっき子供たちが山の方へ行った」
「子供たちが国民学校へ行かずに山か」
「でも先生が連れとったぞ」
「大人が一緒だったのか。どんな風采だ」
「着流しでぼさぼさ頭の男じゃ」
「それこそ不審者だ。なにより勤労奉仕にも早すぎる時間だ」
「ハァ、言われてみればそうじゃの」
「たいがい間違いなかろ。おれ巡査に知らせてくる」

いったん山を登って峠を越えて山向こうへ続く舗装道路を
一緒に歩きつつ太郎は子供たちに問い掛ける

「いくさ、ずうと続いとるか」
「おれたちが生まれる前からだ」
「さむらいは戦わないのか」
「みんながさむらいになって兵役に行くんだ」
「国民皆兵なんだよ」
「よく分からね」
「お国のために国民全員が戦うんだ」
「みんないくさに行けば村にゃ誰も残らねだろ」

山裾の畑から自転車が壊れんばかりの勢いで走ってきた
自警団の男が駐在所に転がり込んでくる
警部と応援の警察官たちを見て驚きつつも
息せき切って状況を説明した

「手掛かりを得たか」
「や、山の方に向かってます」
「その様子は」
「国民学校の、こ、子供たちをかどわかして連れているようで」
「由々しき事態だ」
「車を出せ! 大至急、山へ向かうぞ!」

今度は逆に太郎が子供たちから質問を受けていた

「太郎の村は、どんな村だ」
「10軒くらいの小さな村だ」
「なして暮らしてる」
「小さな田畑を耕したり海に出て魚を釣って食ってる」
「太郎も耕したり釣ったりしてるのか」
「おらの家の前は砂浜で畑はよくねが釣りは得意だ」
「どんだけ獲るんだ」
「いつもたくさん獲れて隣の村まで売りに出たりしてる」
「太郎、すげえな」
「何日も時化が続かなけりゃ食うには困らね」
「おれたち毎日毎日芋飯麦飯菜飯ばかりでいつもひもじい」
「お前らの畑もよくねのか」
「違うよ、いくさに出てる人たちが食うために我慢してるんだ」
「お前らのために浜で釣ってこよか」
「釣りは警察に捕まっちゃうからダメだって」

そう言って子供たちは笑う

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2008/08/12

試小説(2) 羨ましいよ太郎・前編

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夜の海は静かに凪いでいた
星明かりに浮かび上がる大きな亀
とその背に乗った人物のシルエット
さらに曳航している古びた木造の小舟

この亀は人語を解するらしく
乗せた人物と会話をしている
背の人物は若い男
もともと短い裾をさらに絡げた着流しの格好で
細い竹の素朴な釣り竿と小箱を携えている

「ちょと長居しすぎた気が」
「ひとまず人目につかない夜中にしましょ」
「亀に乗って帰ったら家族に何と言われるか」
「途中まで送りますで、最後は小舟で」
「そだな。また虐められたらいけん」

カメと別れて小舟に乗り換えた男は
浜辺に近付くにつれ違和感を覚える
星々が地上に置かれたかのように
異様に明るく照らされており
砂浜だったはずの港は
奇妙な四角張った岩が埋め尽くしている
太郎は呆気にとられた

「おらの村はどうなってしまったか」

その港の船だまりには大きな船が並ぶ
船縁も高くて漕ぐに適さず、といって帆柱もない
星空を見上げれば夜明けまで少し間がある
男は船の並びの端に自らの小舟を舫い上陸し
近くにあった小屋に入って休息することにした
明け方に子供たちの声で目覚めた男は
ひょいと顔を出し子供たちに話しかけた

「おらの家は知らねか?」
「お前さま、誰だ?」
「おら、太郎ていうんだが」
「知らねな」
「このあたりは浦島ちう村じゃなかたか?」
「そんな名前の村、知らね」
「ここらは西京市っていうよ」

半袖半ズボンに帽子を被り小さな鞄を肩に提げた子供たちに
たちまち囲まれる太郎

「太郎さ、身分証持ってないの? 住所わかるべ」
「みぶんしょ? 分からね。たぶん持ってね」
「いけねな。お巡りさんに連れてかれるぞ」
「おまーりさんて何だ? 分からねぞ」
「警察だよ」
「それも分からねな」
「とにかく悪いことしたら連れてかれるんだ」
「おら悪いことなんてしてね」
「悪いことしてるかどうかは『署で説明』するんだよ」
「さっぱり分からね」

「それより少し歩いてみたい」
「その格好じゃダメだろ」
「お巡りさんに連れてかれる。怪しいのも連れてく」
「そだ、太郎、服を買え」
「おらカネ持ってね」
「じゃダメだ。おれたちも持ってねしよ」

一方、大人たちは朝になって
港に突如現れた小舟に大騒ぎ

「こりゃ最近各地で噂の不審船か」
「すると乗ってきたのは敵の工作員か」
「したら早えとこ通報せんと」
「放といたらおれたちも危ねもんな」
「そだそだ、警察行かねば」
「あまりに大胆な輩だ。自警団も集まろう」

子供たちは太郎の持ち物に興味を示し始める

「太郎さ、抱えてるその箱の中身はカネじゃねのか」
「知らねが大切なもので開けらねのだ」
「開けねって、どすんだそれ」
「土産だ。父ちゃん母ちゃんに渡す」
「ほいじゃ仕方ねな」

「ところで太郎さ、その竿で釣りするのか」
「許可証を持ってなかったら釣りしちゃいけねえぞ」
「お巡りさんに連れてかれるぞ」
「それから太郎さ、その腰のは刃物だろ」
「そだ。釣った魚捌くに使うよ」
「ダメだ。刃物なんか持ち歩いちゃいけねえんだよ」
「お巡りさんに連れてかれるぞ」
「何しても連れてかれるんだな」

大人たちは駆け足で駐在所へ向かい巡査に説明をする

「不審船が港にある」
「小さなボロ船だが静かに漕いで港に忍び込める」
「あの大きさなら3~4人は乗ってこれる」
「大胆不敵にも、おれたちの船の隣に舫ってる」
「村の中に敵の工作員が入ったに違えね」
「とにかく巡査も一緒に来てくれろ」

子供たちに警察の恐ろしさを聞いた太郎は不安になる

「警察に連れてかれるとどうなる?」
「知らね。みんな帰ってこね」
「隣の兄ちゃんも帰ってこね」
「ありゃ勘当されたってよ」
「違うよ、そういうことにしたんだ」
「そんな噂、あんまりしちゃいけね」
「それより太郎も危ねから裏山にでも隠れろ」
「そだそだ、太郎は悪い人じゃねだろ」
「おれたちも一緒に行くぞ」

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2008/08/11

身の丈に比してハードルが高くなりすぎたら高跳びになってしまうかもしれないハナシ

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ある漫画で、こんな場面があった。
会社を辞めた初老の男が電車に乗ってブラブラしているところに
居合わせた幼い女の子。その2人の会話だ。

少女は、母親が厳しく勉強させようとするのに反発して、
小さな家出をしているトコロだった。
親を喜ばせようと、「ちょっとがんばって」良い点数を取ったものの、
その努力をさらに高めるよう求められたというのである。

「でもそうすると
『今度はもっと
がんばってもっと
イイ点取ろうね』
っていうのよ!?

どーゆーコトなの!?
その時 私がいつもの
2倍がんばってたと
するでしょ?」

「うんうん」

「もっとって
コトは3倍?
次は4倍?

グラフにすると
こうよ!

でね『バ~ン!』って
バクハツするの!」

「…?
何が?」

「私が!」

(大石まさる「OUTER PILOT―明日への扉―」/少年画報社YKコミックス「空からこぼれた物語」所収)

ちょっと調子が悪いかな、というときであっても強気に
右肩上がりの成長を指向し続けるばかりでは疲弊してしまう。
もちろん、その不調が軽度なもので、すぐに回復するような
程度であるならば、強気を維持していても差し支えはあるまい。

ただ、さすがに国内構造体のさまざまなところに疲労が蓄積して、
それを取り繕うための補強工事が行われたけれど新たな応力集中
の場が生じて過去になかった致命的な歪みが現出してしまうなど、
今の日本社会の不調は非常に根深く、重度なものといえないか。

むしろ少しばかり現実より弱気なくらいの感覚でいながら、
かつ遠くに希望を見続けているような、そんな感じの路線の方が、
長期的な視野に立って、もっと地道に着実に、しっかりと底力を
つけていくためには、よいのではないかとも思うのである。

何にしろ、「バ~ン!」ってバクハツしてしまうより前にね。

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2008/08/10

たまには時事ネタ(27) 大本営が初めて玉砕を発表した日

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ようやく月例経済報告から「景気回復」という表現が消えた。
2008年8月の報告では「景気は、このところ弱含んでいる」
「景気がさらに下振れするリスクが存在する」などと、
あまり強気でない内容となった。

でもまだ、庶民の感覚からは隔たりがあるような気がする。
報告の内容を総合すれば「微減」という程度ではあるが、
「雇用情勢は、厳しさが残るなかで、このところ弱含んでいる」
ともあるのだから、厳しい上にさらに厳しくなると読めてしまう。

かつて大本営がアッツ島守備隊全滅を玉砕と言い換えたのは
戦意阻喪を避けるためのダブルスピークだったと考えられている。
マクロ経済も消費者などのマインドが大きな影響力を持つもの
ではあるけれど、戦意高揚だけが宣伝というワケでもあるまい?

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2008/08/09

自称逸般塵の不通の日記(20) 敲頭苦

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東京と千葉の間の地域については、
どうも暑い印象ばかりが強い。

今年もまた仕事や私用で何度も訪れているが、
他の地域より暑く感じるのは気のせいか。

このあたりは地勢的にみれば湾奥部の静かな干潟で
きっと水も空気も停滞しやすい場だったはず。

そういうところを埋め立てて陸化して
倉庫や工場や集合住宅を建ててるワケだ。

幾筋もの線路や道路は多くが高架化されて東西に走り
地表における南北の空気の流れを遮ってたりする。

そしてイネ科を中心とした植物が生い茂っていたであろう地表は
多くがコンクリートとアスファルトに置き換えられて熱を蓄える。

……駄目だなあ。
考えれば考えるほど、暑苦しくなってくる。

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2008/08/08

自称逸般塵の不通の日記(19) 戯言か譫言か絵空事か、それは与り知らぬコト

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ある日いきなり、ひょっとしたら
この夏は日本の転換点の一つになるのではないか
という考えが、ふと浮かんだ。

果たして実際そうであるか否か
それは後の時代になって振り返ってみなければ
断言するコトなどできないが。

なにしろ砂丘を構成する砂粒の
たった一つでしかないのに砂丘が動いてるだのと
思っているだけなのだからなあ。

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2008/08/07

出張旅行記・余話 出っ張らない日々

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気付けば最近ほとんど出張していない。
1~6月には月に2~3回の頻度だったのが7月は0回。
8月に入っても出張業務の打診は下旬に1回だけ。

たいていは企業の依頼を受けて動いているので、
出張するような仕事の依頼が出てきていないのだ。
こりゃもしかして、景気減速の影響かな?

とはいえ日本中が猛暑続きの今の時期、
遠出をするのも疲れるばかりだといえば
それまでのコトではあるのだけれども。

でも、涼しくなる頃には、また遠くに出たいものだ。
さすがに、あんまり運動せぬままでいては、
この腹も出っ張ってしまいかねん。

せいぜい暇を見繕って散歩でもして汗をかいてくるかね。
とはいえ、その暇を作るためにも、
目先の仕事は片付けておかねばならんのだけれども。

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2008/08/06

濾過した残渣からも芽が出たりする件

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ヒトの脳というものは欲している情報のみを抽出するフィルタ機能を備えている

コンピュータの発達によりヒトの脳の働きを代替させようとする動きが活発だが
あらかじめ認識された情報にマスクをかけるようなフィルタリング処理ってのは
ちょいとばかりヒトの脳味噌とは違ったアプローチであるような気がしてならぬ

むしろ脳の中では未確定の混沌の中から理解できる存在のみを認知・抽出してる
ゆえに認知されぬままの情報は存在すら認識されぬまま混沌の中に放置している
コンピュータのように情報を濾過するのではなく情報を生成しているとも言える

この点は些細な違いであるかもしれないが根本的な部分での違いでもあるはずだ
なにしろ、あるものを、なかったことにするのは、とても難しいコトなのだから
だけどヒトが脳の中で情報を作り出すというコトはとても重要な働きなのである

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2008/08/05

たまには時事ネタ(26) 結論なんて出ないのですよ。しかしヒトは偉いからそれが分からんのです。

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政治家や公務員は接待や便宜供与ばかりを繰り返してるし、
芸能人やスポーツ選手は色恋沙汰のスキャンダルだらけ。

景気も良くないし収入は増えないのに物価は上がるばかりだし
増税ばかりが議論されていて公共サービスも質を下げるばかり。

こんなにも暑い日が続いているのが原因なのかもしれないけれど
男も女もオトナもコドモも突如ある日キレて刺したり殴ったり。

機械ですら突然止まったり逆方向に走り出してみたりするし
河川さえも一瞬で増水してヒトビトを押し流したりする。

災いには特に予告も用意されておらず降りかかるのは一瞬のコトで
基本的には誰かが損害を被るという点だけ確実であるらしい。

何が良くて何が悪いのか、どうにもよく分からぬ世の中。
何も良くなくて何も悪くないとでも思っておけばいいのかね。

そもそも善悪の価値観てのはヒトの持ち物であって自然界の
存在じゃないのだから恣意的に判断する以外にないのだろう。

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2008/08/04

自称逸般塵の不通の日記(18) 盛夏の頃、金曜の夜

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友人たちに呼び出されて、一緒に飲んだ。
「最近、元気がないぞ」と、励まそうというコトだった。

そういえば、このところ金銭的にも時間的にも
精神的にも余裕がなかったから、あんまり酒を飲んでない。

1軒目の串焼屋では、そんなワケで奢ってもらった。

しかし久し振りだったからか、あるいは溜まったストレスのせいか
2軒目では酷く飲み過ぎたようである。

気付けば土曜の昼、自宅の布団でひっくり返っていた。
部屋のあちこちに荷物が散らかっている。

帰宅したとき、積んであったモノを崩してしまったりしたようだ。
あるいはストレス発散行為を行った可能性も否定できない。

ともあれ、ときたま起きては水分を摂りつつ横になって調子を
整えようとしていたら急に吐き気を催し、トイレで胃液を出した。

翌日とはいえ吐いてしまうほどの深酒は、何年振りだろう。
しかしそれだけ何かのストレスを蓄えていたのでもあろう。

発散に付き合ってくれる友人たちに感謝せねばな。

……とか思っていたが、
気付けば財布の中身は酷く軽くなっているではないか。

おぼろげながら思い出すのは、2軒目の支払いのとき。
かなり気を大きくしていたのだろう、率先して金を出した。

まあ、こういうトコロも含めて、
思い切った行為がストレス発散に繋がるのだろうけれども。

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2008/08/03

自称逸般塵の不通の日記(17) 無負荷からの再始動

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なんとかして上手にまとめようとするから
そこで無理や無茶が入ったりして、
却って下手になったりするんだよね。

足掻いても足掻いても悪循環に陥る、
そんな状態になってしまったら、たまには
逆に無為無策を貫いてみるのもいいだろう。

いっそ真逆を向いてみたり、
あるいはそれに慣れてしまう、
なんて方法だって構うまい。

いずれにせよ、どうせこれ以上は悪化しようがない、
とでも思えば踏ん切りもつくだろう。
そうやって余裕を作って、また歩き出せばいい。

謀をしないという意味では無謀かもしれないが
積極的に無謀なコトをして背負うリスクよりは
まだ消極的な無謀の方がマシだと思えるので。

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2008/08/02

自称逸般塵の不通の日記(16) タヨラナ

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ところで、このところしばらく
人間嫌いな時期が続いていたような気がする。

ストレス発散も上手にできぬ
可愛気のないオッサンであり
到底ステキにはなれないから
致し方なくフテキになったり
……などと考え巡らせていた

まあたまには、そんな日々があっても構うまい。
もともとそんなふうにできているわけじゃないのに
いつも明るく朗らかに生きていたりしたら
底が抜けてしまいそうだからね。

何事も、無理やら無茶やら無謀やら、
そういうコトは、あまり宜しくないものだから。
むしろズルズルと過去に引きずられつつ
些やかな幸せでも見付けながら歩こうか。

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2008/08/01

たまには時事ネタ(25) 双方向に一方通行

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ようやく日雇い派遣を規制すべきだとする動きが出てきたようだ。
最近では、“ゆとり教育”も、少しばかり方向転換をしつつある。

まるで朝令暮改、一見すると迷走時代に突入したかに思えるが、
とはいえ行き過ぎた部分を見極めて改めることは常に必要なもの。

それに、行ったり来たりして限界を知るという経験を
社会全体で積んでいくコトも重要なのではないかと思う。

だから決して悪いコトではないと考えておいた方がいい。
少なくとも、行きすぎて戻ってこないよりゃマシだもんね。

ちなみに、0時12時に方向が切り替わってた近所の一方通行の道路は
今度から完全に方向が決められた一方通行になるという。

そういうトコロは変わらないに越したことはないのかもしれないが。

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