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2008.10.26

自称逸般塵の不通の日記(42) バスバス走るオムニバス・3

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ある盛夏の日のことだった。
直射日光を避けるためバス停で待つのを諦めて
民家の軒先を借りていたところに、
話しかけてきた人がいた。
バス会社の夏の制服を着た中年男性だ。
交代するバスを待っている乗務員らしい。

この夏も、「暑いですね」は誰にでも通じる挨拶である。
「日陰がないバス停だと、交代待ちも大変ですよね」
「このバス停も、以前は木陰があったんですが、
道路拡幅のために後ろの家が建て替えたせいで、
こんな日当たりの良い場所になってしまったんです」

この近所で暮らすようになって10年近いが、
数年前には、たしかに幅の狭い道だった。
片側1車線ずつの車道と、ぎりぎり1人分の狭い歩道で、
ときたま自転車が置かれていたりすれば、
誰でも否応なしに車道を歩かざるを得なかった。

バス路線でもあるし、大型トラックも頻繁に通る道だし、
おまけに近所は古い住宅街で高齢者や子供も多い。
危険な道路をそのままにしてはいけないというワケで、
最近になって拡幅が進められている。

しかしその拡幅も、遅々として進まない。
この道路は3つの区を通っているのだが、特に真ん中の区で、
ほとんど用地確保が進んでいないのだと運転手は言う。

「ほら、あそこから先、前と変わらないでしょ」
と、100メートルほど向こうに見える区境の交差点を指さした。
交差点の手前は、すでに多くの建物がセットバックしていて
まだ道路に使われていない用地が広い歩道となっているのに、
向こう側は旧態依然、というか10年前から変わってない。

「中の区だけは全然進んでない。予算がないからかも。
さらに向こうの区まで行ってみれば、そっちもまた
それなりに用地確保が進んでいるのです。
ただ、他の区でも、拡幅に合わせて建て替えたところと、
そうでない建物とが混在しているので、まだまだですね」

手前側の区でも、いくつかの建物は以前のまま。
この路線で毎日のようにバスを運転しているのだろう、
さすがに運転手はしっかり観察している。

(考えてみれば、区をまたいでいるのだから都道のはず。
予算の都合というより、都の予算配分を受けた区役所の
中の人の仕事振りの違いというコトなのだろう)

用地確保が進まなければ、道路の拡幅も進むはずがない。
区境の反対側を見れば、幹線道路の交差点の近くだけ
車線が増やしてあるので混雑緩和には役立つだろうが、
より安全な道路にするという目的は果たせていない。

「セットバックしてない建物の中には、
それほど古くない建物もあるでしょう。
ああいうのを、今から引っ込めろというのも
難しい問題ではないですかね」

そういえば、このあたりでは住宅街の中の路地も
細く曲がりくねって、ところどころ行き止まりもある。
古い住宅街が残っているせいもあって、
区画整理がほとんど行われていないのだろう。

もし震災火災が生じれば消火活動が難しいし
避難も困難になるなど、不安が大きいので、
安全のためには改善してもらいたい気もするが、
一気に整理して街を作り直すなど、まず無理だろう。

それこそ大災害でも生じないことには……?

はてさて、どっちが先なのやら。

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