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2008.12.10

理系用語で読み解く社会(35) 個体学習は社会学習を繰り返せるか

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別の切り口でみてみよう。

ヒトは不完全ではあるが、しかし社会を通じて情報を伝える仕組みを作ったからこそ、
情報を個体の寿命を越えて伝え、なんとか未曾有の危機も乗り越えてきたのではないか。
そうやって、随分と長い歴史を紡いできた。少なくとも個体寿命と比べれば、ずっと長い。

「個体発生は系統発生を繰り返す」なんてコトバがある。
このコトバは、もともと生物学的な用語であったが、その解釈のみならず、
社会学的にも当てはまるのではないかという意見も散見される。

これは、詳しくないがミームだとか、そいう考え方にも近いのではないかな。
とはいえ環境が変われば、過去の環境において有用だった教訓が
しばしば役に立たなくなり、ただせいぜい言い伝えが残るのみ。

そして環境の変化は、近年では非常に早い。
そういう社会を、過去のヒトビトが作り上げてしまったせいもあって。
だから、このところ教訓は簡単に死んで亡霊に成り下がりやすい気がする。

教訓というのも、ひょっとしたら体験or体得した個体の寿命によって、
同じく寿命を迎えてしまうケースも少なくないのではないか。
環境変化が緩やかな時代であっても、そいう傾向はあったと思う。

まあともかく、そういうものだとなれば、その「繰り返される個体発生」の
道筋を上手に導くのが、重要なポイントになりそうだ。
単純なハナシだ。死んでしまうのなら、再生させればいいというだけのコト。

世に出る前は生物学的な「発生」を繰り返すのだから、
世に出てからは人文学的な意味の「学習」を、
同じように繰り返せるようにしていけばばいい。

ていうか、そういう努力をし続けないと、
いつまで経っても変わりゃしないんじゃないかね。
社会の変化に比べれば、ヒトという生物の変化は遅いのだから。

たしかに大変なコトではあろう。歴史が積み重なるにつれて
受け継ぐべきモノゴトが増えて理解が困難になるし、
次代へと伝えねばならぬモノゴトも増える一方だ。

けど、諦めたらそこで終わってしまうだろう。
せいぜい、足場を踏み外さぬように、気をつけつつ。
情報を扱う上でのメタ情報も含めて、上手に扱わねばならない。

余談だが、特に年少者の教育において、
昔話なんぞが教訓として大いに役立つのだぞと、
最近になって(急に?)聞かれるようになってきた。

そのような文脈を見てみると、しばしば「戦後の日本では途絶えた」
「良き伝統を復活させるべし」といった考え方が目につく。
訓話は神話に多いので、皇室崇拝を避ける意図で排除されたのだとも。

まあそうかもしれないね。
であれば日本に限らず広く古今東西から教訓的な小話を集めてくればいいんじゃない?
そうすれば大戦の教訓もメタ情報として活かせるんじゃないかと思うよ。

どうせ無思想の日本なのだからして。

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