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2009/02/16

役に立つか苦言かどうかは受け手次第(18) 後にならないと祭りにならない

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いろいろと間が悪かった。特に、あの夜は風が強すぎた。
木造アパートを揺らすほどの風の中だったから騒々しくて、
炎が爆ぜる音にも、カーテンと窓を開けるまで気付かなかった。
一方、大して強度もないアパートのくせに密閉性は高いようで、
焦げ臭いなと気付いたときには激しく燃え上がっていたから、
初期消火どころか自主避難が必要なほどだった。

火が出たのは、今は誰も住んでいない古い民家。
区が予算を出して公園にするというハナシだった。
気づけば区の看板や警備会社のシールが貼られるようになり、
ときたま明かりがついていて、関係者らしき人影があったり、
見物して写真を撮って帰る人も、ときたま見掛けるようになった。

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どうも気持ちが落ち着かないまま熟睡できず夜が明ける。

鼻腔がムズムズするのでハナをかんでみれば真っ黒だった。
部屋中どこも焦げ臭い。すでに火種は残っていないはずだが、
本能的な警戒心が、気を落ち着かせなくしているのか。
炎を目前にしたときの本能的な反応の余韻が未だ残っていて、
いろいろな意味で気持ちが昂ぶっているのかもしれない。

しかも春一番が運んできた南の大気が季節外れの気温を
もたらしたりしたもんだから、妙に現実感が薄い。
未だ周囲に濃く残る煙の匂いだとか、黄色いテープで封鎖
された目の前の道路とか、ほとんど直上でひたすら
低速旋回を続けている回転翼機が五月蠅いコトを除いては。

あまりに現実味がないもんだから、日頃は滅多に行かない
美術館などに、その日は行ってみたりした。
いやそれは実際、以前からの予定だっただけなんだけども。
初夏を思わせる暖かさというか暑さのせいもあって、しかも
通りがかった公園では桜(寒桜)も咲いていて、もう何がナンだか。

しかし帰宅したら、相変わらずスモーキーフレーバーが漂う。
ポストを覗き込んでみればマンションのチラシがあった。
火災に弱い木造を出て鉄筋コンクリートに住めというのか。
狙って投函したものとは思いたくないんだが、
これまたずいぶん間が悪いもんじゃないか。

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さらに翌日、近所には、ずいぶんと人が増えた。
思い思いに覗き込んだり写真を撮ったりしている。
それなりに広く報道された上に、日曜日なので、
気になって訪れた人が相当いるのだろう。
つまりヒトは、失われてから知って集まるものなんだな。

そんなヒトの性質を、マスメディアは桁違いに増幅するのか。

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