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2009.03.03

科学系ヨタ話(11) アーキア人?

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その前に聴いてきた海洋研の年次報告会の中では、
海底下の地殻内微生物において、これまで考えられていた
より多くのアーキアが存在するらしいという発表があった。

(アーキアに対しては「古細菌」との訳語もあるが、
むしろ個別に進化を続けてきたものだという説が
近年では主流らしく「古」の字は似合わぬようだ)

この地殻内アーキアは培養が非常に困難なので
掘削して得られたサンプルコアの中にどれだけ
含まれているのか、定量的な分析が難しかった。

そもそも生育条件が極限環境だからか、あるいは
アーキア特有なのか、増殖が非常に遅いものであり、
培養できたとしてもヒトに分かる速度ではないという。

そこでDNAに特異的に反応する蛍光色素を使ったり、
アーキアの細胞膜に特有の脂肪酸を分析してみたりと、
工夫して調べたところ、冒頭のような結果となった。

さらにサンプルから微量のDNAを抽出・増幅して
既知の生物と比較する系統樹解析を行ったところ、
未知の枝に属する種が数多く発見されたという。

海底下地殻内の探索は、ようやくこれから進もうと
している段階だから、今後より多くのサンプルを
得られるようになれば多様な知見が得られよう。

--
地殻内生物圏は地上の生物圏とは大きく異なり
主に地質学的に得られる化学エネルギーに頼る。
それは地上の光ほどには潤沢に得られるワケじゃない。

だからどうしても代謝は低速にならざるを得ない。
そして環境のゆえか、アーキアには細胞膜が
堅固な構造となっているものが多いという。

あるいは彼らは、他の生物よりも長い時間軸を持っている
というコトになるのだろう。それは生物の古い姿を保って
いるものか、それとも地質学的スケールに適応した結果か。

--
地殻内の環境は地上と比較すれば厳しいといえるが、
しかしその環境は、長期間に渡って変化が少ない。
むしろ地表より安定したものとも言えよう。

もし気候が激変したりして地表の生命の多くが失われても、
きっと地殻内微生物は、ほとんどそのまま生き残るだろう。
なにしろキロメートル単位の深さにまで存在しているのだ。

そして繁栄を謳歌ていた生命が絶えた後の地表において、
地殻内の極限環境に耐え抜いたアーキアの末裔が、
ひょっとしたら進出して繁栄の時代を迎えるやもしれん。

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