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2009/03/04

試小説(3) zoo zoo train

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先日、撮影データを納品した帰りの電車内のことだった。
すでに遅めの時間で、車内は通勤帰りの乗客で混雑しており、
席に座ることはできず吊革に掴まっていた。

隣の吊革には疲れ切ってワイシャツもヨレヨレの若い男がぶら下がり、
風邪でもひいているのか、しきりに咳をしている。
この声が、まるで犬が吠えているみたいに聞こえる。

少し離れた席では、したたかに酔っているらしき赤ら顔の50絡みの男が
しきりに欠伸をする。この種の連中は何故か欠伸に声が混じるんだが、
これまた、犬が、望郷の念に駆られて遠吠えているかのような感じだ。

と思えば別のトコロでは、ケータイを熱心に弄っていた若い女が嚔をした。
おや、ここにいるのは犬だけじゃないらしい。
もっと小型の食肉類、狐か猫かというくらいの印象だ。

そういえば、目の前で座っているメタボ中年男の鼾は、
どこか偶蹄類の息吹にも似ていなくもない。
しかも、ときたまむにゃむにゃと反芻していたりもする。

そして少し離れたトコロで喋り続けているアラフォー女3人組の笑い声は、
やはり人間っぽくなく聞こえて、まるで鸚鵡か鸚哥か九官鳥か。
こりゃぁどうやら、動物ばかりの列車に紛れ込んだようだぞ。

それじゃあ、すぐ隣の吊革にぶら下がって安物の白いヘッドホンから
シャカシャカと音漏れさせつつ首を上下に降り続けてるやせぎすの男は、
さしずめガラガラヘビというトコロだろうな。

いずれにせよ、こんな身近に動物がたくさんいるというのは、
あまりない機会であるには違いあるまい。
というワケで、カメラのシャッター音に似せて歯をせせる音を立ててみた。

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