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2009/03/05

自称逸般塵の不通の日記(69) 西も東も南も北も

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ほぼ真南に向いている部屋で生活しているにも関わらず、
目の前の空を左から右へ横切る飛行機雲を見ながらそれが
西日本へ向かうものだというのをなかなか気付けない。
どちらかというとアレは西北西か北西へと、
向かっているように思ってしまうようである。

しかし実際には西日本は「かなり西」の方角であり、
特に山陰方面となれば東京との緯度差もほとんどない。
さらに調べてみると瀬戸内海方面などでも
山側ルートを通る航路を使うケースがあるというので、
ほぼ真西に向かう飛行機の数は少なくないのが分かる。

要するに西日本は「思っている以上に西の方角」
にあるものだというトコロになるのだろう。
そういえば北日本もまた同様に勘違いしていて、
実際より東であるように思い込んでいるようだ。
経度線に沿って眺めればやはり「ほぼ北」だのに。

どうしてこんな勘違いをしてしまいがちなのか。
全くの余談だが邪馬台国の場所を巡る考察の中で、
ヒトの多くが方位の狂いを持っていることを論拠として
魏志倭人伝の記述を修正して読んだ例があった。
もしかしたら同様の誤差がヒト全体にあるのかも。

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もっと遠くの物体もまた微妙に方向が狂って見える。
実家に寄った或る夜のこと、ちょっと外に出て
ふと見上げてみたら上空の星が動いて見えた。
それは星ではなくて低軌道上の人工天体らしい。
日没直後だから軌道上には日射が当たるはず。

そんな時間にたまたま暗い夜空が背景となって
目立ったものであろう。一等星くらいだろうか、
肉眼で分かるほどの明るさと相当な速度。
数分もせぬ間に西から東へ移動していって中天を
過ぎた辺りで急激に明るさが失われて見失った。

おそらくISSだろうと見当をつけて調べてみれば、
やはり時間帯や位置的にみて間違いなさそうだった。
とはいえコレもまた関東南部からみて「ちょい北」
程度に思えたのだが、地図上にプロットされた軌道は
東北地方上空を通過していたりするのであった。

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せいぜい成層圏の航空機と低軌道の人工天体を
同じ感覚で扱っていては誤解に陥る危険も多いが、
ともあれ上空を見上げたときの方位感覚というのは
あんまりアテにならぬものというのは分かった。
そもそもヒトの目が対応できる距離でないのだから当然か。

ひょっとしたら地球の丸みに沿って
いわゆる大圏コースというヤツを応用して
考えてみればいいのかもしれないとは思う。
けれども大して面白い考えも出てこないので
またしばらくすると忘れて、新しく気付くのである。

こんな感じの誤差はきっと他にも少なからずあるはずだ。
機械でさえ誤差があるのだからヒトなんて不正確なもの。
誤差をなくそうとしたって完全には消せるはずもなく、
むしろそれより誤差があるという前提で常に考え行動する
ようにした方がずっとマシなのではないかと思うのだ。

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