« 出張旅行記(25) 上野発の寝台列車 | トップページ | 出張旅行記(25.4) 観光のこと »

2009.04.27

出張旅行記(25.2) 半島のこと

20090427_20090418357s


仕事の前に時間があったので少し遠出をした。
そのとき友人たちに送ったメールを、
一部改変して掲載する。

--
上野発の寝台列車を降りたときには金沢駅は霞の中、といったトコロだった。

「北陸」は0626、定刻通りに到着。
天候は曇り、気温は10℃前後か、風が少々肌寒い。
しかし予報によれば徐々に晴れてくるとのこと。

朝も早すぎて、ホームの売店も開いてない。
駅を出て食事して、金沢市街を散歩しようかと考えていたが、ちと予定変更。
後で晴れるなら、それから散歩した方が良い。

時刻表を見ると、七尾行きが0630発というので急ぎ飛び乗った。
隣のホームには「北陸」を追いかけるように
同じく上野から夜を徹して走ってきた急行「能登」が滑り込んでくる。
こちらは寝台でなく、普通の座席の夜行列車。
たしか489系L特急車両、しかもボンネット付きだ。
今やすっかり懐かしの昭和デザインで、さすがに
汚れなども目立つ姿は、まるで長旅に草臥れたかのようにも思えた。
降りてくる客も、どことなく疲れた様子の
背広姿が多いように思えるのは気のせいか。

さて七尾行き普通列車は、乗ってみれば通学列車。
朝から元気な(都会のそれとは違うようで)学生服姿の連中が、
途中駅で頻繁に乗り降りをしている。

七尾線に入ると、津幡-中津幡間で電源切換があるという。
交直セクションを通過する間、車内は非常灯だけとなる。
昔、富山へ出張した際に、糸魚川での交直セクションを体験したので
七尾線だけが何らかの理由で直流を採用したのだと考えた。

(実際、帰ってきてから調べてみれば、七尾線内は
狭小トンネルが存在するため直流を選択したとのこと。
加えて北陸本線も近畿地方に近い方では直流化が進んでいて、
一方の糸魚川-直江津間も直流だから、敦賀-糸魚川間だけが
周辺から孤立して交流電化のままの区間なのだそうだ)

津幡からの七尾線は単線で待ち合いが多い。
車両のドアは半自動、車内側には「閉」ボタンがあって、
乗った客は自分で閉めるのがマナーらしい。
しかし外にはそれがなく、降りる客だけのトコロでは
外の寒気を嫌がった乗客が立ち上がって閉めている。

この七尾線に乗ったのは、明後日の帰りの予定ルートを一部先取りするため。
それから、適当な駅で朝食にしたいとの考えもあった。
まだ朝早いから、時間潰しも兼ねてというワケ。

しかし、さすがに早すぎ(そして郊外すぎ)か、
駅前で食事できそうならすかさず降りて食う、と
意気込んでみても、そんな駅には一向に出くわさない。
どうやら、まずは終点の七尾駅まで行かねばならんようだ。

半ば諦めて車窓を眺めれば、ときおり満開の桜。
散りかけたものも少なくないが、どうやらこの周辺では
東京都心より10日ほど後になっているようだ。
金沢周辺では都心より1週間ほど後だと聞いていたが、
日本海に突き出た半島ゆえ寒風に吹かれるコトが多いのか、
さらに少し遅いのだろう。

地形も見ていて飽きない。線路の周辺は低い丘陵が連なっている。
海底に堆積した土砂が圧縮する力を受けて襞状に隆起した山地が、
風化したり侵食されているといった様子。
その間の狭い平地を、人は昔から耕し、生活の場としているのだ。
線路は急勾配を避け人口密度の高い地域を結ぶべく平地を縫うように敷かれた。
などと、出発前に目を通しておいた地形図と路線図のイメージを重ねて考えてみる。

近くの席の背広姿の年輩の男が読んでいる本のタイトルは「38度線の崩壊」。
日本海の反対側から突き出てる半島のハナシか。そういえば、近い。
狭い日本海の向こう側の状勢は、こちらにも暗い影を落としている。
だから、地元の人が気にするのも分からないではない。

まあしかし、近いってコトは、悪いコトだけじゃないはずなんだよな。
15世紀くらい前には、あっち側から伝わってきた事物も少なくない。
近代に入ってからはキナ臭い話題が多くなってしまったけれども、
そういったトコロまで含めて、近いがゆえの関係性を考えたいものである。

とか、まとめてみた。

ちょうど七尾に着いた。
さあ、もう8時過ぎたし、そろそろ飯くらい食えるだろ。
--

七尾駅前では、まだ小雨模様だった。予報は外れたのだろうか。
(少し金沢寄りの車窓に「能登国分寺跡」の看板が見えたので
ひょっとしたら律令遺跡ジンクスが発動したのかもしれない)

改めて時刻を調べてみたら、次の列車で戻らねば仕事に間に合わない。
やれやれ。後の予定がある場合の寄り道は
「電車のように正確に」いきたいものだ。

駅前を一周してみたものの、結局は喫茶店でモーニングとなってしまった。
喫茶店では地元の人たちも「変な天気だ」と言い合っているのが聞こえた。
予報では朝から晴れるというハナシだったようだが……。

とはいえ、再び金沢行きに乗れば、
途中から徐々に天候は回復してきた。
通学時間を過ぎた列車は空いている。

津幡まで戻った頃には、いよいよ晴れて陽射しが暑くなる。
そして「北陸」で寝付きが良くなかったのが
今になって出てきたか、眠くなってきた。

だが仕事を終えるまでは我慢。
午後に晴れるなら、昼食を済ませて
公園のベンチかどこかで昼寝しても良かろう。

|

« 出張旅行記(25) 上野発の寝台列車 | トップページ | 出張旅行記(25.4) 観光のこと »