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2009/09/26

救慌食考

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そいえば曼珠沙華は救慌食でもあったコトを思い出した。
鱗片を持った球根が地下にあり、そこが食えるという。
秋には葉を出さず花だけ咲くので目立つ。それで
目星をつけておいて飢餓の春に掘り出して食うらしい。

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一般的にみて、調理に手間が掛かる、あまり美味でない、
住居近くや田畑の畦などに放っておけば勝手に殖える、
それからおそらくは通常の作物と拮抗しない性質――。
救慌食とされるのは、そういった条件を満たす植物だ。

生育に関する条件は当然のコトだろうけど、
食材としての条件は興味深いトコロである。
理由を思いつくまま並べ立ててみた。

一家のみの飢餓状態ならともかく広域の飢饉となれば、
容易に食えるモノなど盗まれてしまう危険が高い。
何日もアク抜きをしないと不味くて食えないとか、
アクを抜いてもなお不味いような食材であれば、
多少なりとも盗難を逃れ得るかもしれない。

また逆に、家族総出で下拵えに取り掛かっているならば、
他所の家のものを盗みに出る余裕もなくなるのではないか。

また、たとえば晩稲への過度の依存が飢饉を悪化させるなど、
半ば人災の側面を持つ状況下においては、ひょっとしたら
その不味さが教訓として人々の身に染みるかもしれない。

もとより食材として使いやすく美味なものであるならば
生育条件からみて通常の作物となっていたコトだろうな。

普段は誰も食物として必要とせず欲せず、花しか見ないが、
それでも彼岸の頃には、収穫を無事に終えた者たちには
目を楽しませ、そうでなかった者たちには安堵を与える。

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