« 役に立つか苦言かどうかは受け手次第(52) 「遠交も近交も」 | トップページ | 生えてきたら叩くより引き抜いてみれば面白いかもしれない »

2010.04.20

役に立つか苦言かどうかは受け手次第(53) 「遠慮は深謀の賜物」

20100420_epsn6984_1ts


外交手段の一つとしての軍事力の使い方も、きっと似たようなものだ。
策源地攻撃能力とか核武装論といった話題もあるが、そういう部分も
「経済力などの面からみて取得や運用は可能だけど、やらない」などと
宣言するのが、有効なカードとして使えるポイントになるように思う。

そういうメッセージを伝えて理解を得ていって、数多くの味方を得て
おくならば、少々の敵対者があったとしても周囲に助けてもらえる
期待は少なからずあるはずだ。それこそ大きなリスク軽減策だろう。
縦割行政の弊害は防衛省と外務省と関係にも、あるのだと思うけど。

--
こういう対話を通じた安全保障の施策は、
生活習慣病対策に似たトコロがありそうだ。
手を抜けば状況が悪化してしまったりするし、
定期的に検査して見落としがないかどうか
確認しておかねば効果も上がらないだろう。

当然、その金銭コストや思考コストは
ずっとずっとついて回るものであり、
そういった軽減策をやめたときには、
リスク拡大の入口に立つ結果となる。

コスト的にみれば保険にも似てるが、
あくまでも事後の補償である保険は、
予防策を補完する機能しか持たない。
国家安全保障における軍事力などは、
そういう保険に近い性質と言えよう。

そも余裕がなければ保険なんて無理だ。
ずっとコストがついて回るものだから。
ちょっとした利息が入るコトもあるが、
それはオマケのようなものでしかない。
むしろ保険を使ってもなお埋められぬ
ほどの大きなリスクもあったりする。
保険にばかり頼りすぎては、良くない。

また一方で事前のリスク削減策だって、
これまた必ずしも特効薬にはならない。
リスク低減する効果は期待できるものの
それを完全に消すのは非常に困難であり
どうしても少しは残ってしまいがち。
残存リスクを埋めるだけの適度な保険を
併用するのが望ましいのではないかな。

リスク軽減策を打つことなく放置して
さらにリスクが高まってしまうようなら
保険料率は累進で高くつくようになる。
だからこそ保険と予防策をバランスして
適度なトコロに落とし込むのが現実的。
許容できる程度にリスクを低減しつつ
その維持費用と保険金とを支払うのだ。

現状では経済的に不安があるのだから、
むしろそれを逆に活用する手もあろう。
経済活動を通じて味方を増やしていき、
そこから次の施策のコストを捻出する。

経済危機は程度の差こそあれ世界規模。
多くの国で共同施策は歓迎されるはず。

--
ヒトは不安が多すぎる状況に置かれると
近視眼的短期短絡に陥りがちなものだが、
それは過剰な敵対心などになりかねない。
動物的な防衛本能が、そうさせてしまう。

しかしそいつは安易に従ってはいけない。
不安からくる怒りに身を任せては負ける。
ヒト社会や集団においては防衛どころか、
むしろ更なる攻撃を招く元凶となるので。

善意を示し提供する行為は、常に簡単で
楽しいコトばかりじゃなくて、むしろ逆。
だが難しいからこそ示す価値もあろうよ。
簡単だったら誰もが考えず実施するはず。

「善意を突き詰めれば自己満足」という
考え方もないではないが、ならばむしろ
自他ともに損失を最低限に、得を最大限
にすべく企んでいいんじゃないだろうか。

中長期的スパンにまで視野を広げた上で
多様な要素を盛り込みつつ利己を図れば、
そう遠からぬ結論に達するように思うが、
なかなかヒトはそこまで考えないらしい。

いずれにせよ知恵を働かせ自身や周囲を
変化させ続けていくような努力をせねば
いつか環境変化に負けてしまうだろうに。
あるいは周囲に潰されてしまうだろうに。

|

« 役に立つか苦言かどうかは受け手次第(52) 「遠交も近交も」 | トップページ | 生えてきたら叩くより引き抜いてみれば面白いかもしれない »