
冬の日本海というのは「深み」というより「凄み」を感じさせる青色。
船の上から水平線に架かる雲を眺めていると目が良くなった気がする。
あまりに遠くまで見えるものだから実は島影が見えだしてからが長い。
3~4層目のデッキでも船体で砕かれた波頭が北風で運ばれてくるのか、
しばらく風に当たっていると手がベタついてくるのを懐かしく感じる。
こんな感覚も実に久し振りだ。少なくとも5~6年は訪れていなかった。
一つひとつモノゴトを思い出しながら徐々に記憶の核心に迫っていく。
陽の当たる海面から、凄みのある青色の、普段は見ない記憶の底へと。