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2011.05.16

試小説(10) 抜きん出る者たち/引き抜かれるほどの実力者

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「ヨノナカは狭い。真っ直ぐ生きれば、すぐ壁にぶち当たる」
「だからみんな、誰も彼もが、ねじ曲がって生きているのさ」

そこは年中薄暗くて、強い風が吹き荒れる洞窟の中、であった。
それも、蒸し暑い風と冷たく乾いた風が、季節によって変わる。
しかも過密で、少し動けば、すぐ隣のヤツとぶつかったりする。

「ああ、あっちでは酔っ払ったルンペンぽいジイサンと、
サラリーマン風の若い男とが、絡み合っていたりするよ」

「こんな場所で、何も変わり映えしない毎日を続けて、
そのまま日陰者として、一生を終えるなんてのは嫌だ」

「どうやったら抜け出せるんだろう」

洞窟から抜け出したい一心で頑張って頑張って、
実力を伸ばし周囲から抜きん出るまでになって、
ようやく明るいトコロに顔を出したと思ったら、

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「プチッ」

抜かれてしまった、鼻毛。

死に絶えようとする鼻毛に、どこかから声が聞こえる。

「なんでコイツらは外に出たがるんかね?
……ふぇ、……へっくしょい!」

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