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2011/07/31

自称逸般塵の不通の日記(280) 身近な不均衡

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外の路上で小型犬の吠え声とヒトの男の怒声が響いた。
何事かと、立ち上がって窓辺から見ると、中年男性が
小さな犬を抱え、どこか路上の一点を睨みつけている。
視線の先は見えないが、もしや、という直感が働いた。
その男は数瞬ほど憤怒の形相のまま睨み続けていたが、
ふいと視線の反対方向に向けて、足早に去っていった。

数分の後、何か固いモノを叩くような音と、猫の悲鳴。
今度は何だよと再び路上を見てみれば、またも先の男。
相変わらず小型犬を抱えていたが、もう一方の手には
何処から持ち出したか、いわゆる「コーンバー」など
持ち、先と同じような格好で路上の一点を睨みつける。

もしかして、あの男は、猫に仕返しをしやがったのか。

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ここ数日、小さな三毛猫が、近所のアパートの軒下か
どこかで、さらに小さな子猫を数匹ばかり育てている。
子育て中にしてはヒトに対する警戒心が薄いというか、
むしろ人慣れした様子で、ヒトの近くで子猫が遊んで
いても、ほとんど気にする素振りさえ見せない母猫だ。

自宅アパートの前で自転車の整備などしてたときには、
興味津々の子猫たちが来て足許でウロチョロしたりで、
うっかり踏んだり蹴ったりしてしまっては危ないから、
そっと抱えて移動させたけれど、それも気に留めない。
どこかの家では餌を貰ったりしているかもしれないな。

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そういう母猫に、中年男が食って掛かったという事件。

おおかた犬がちょっかい出したとか、猫が無防備にも
ヒトに甘えて寄っていったのを犬が過敏に警戒したか、
そんな、些細ないざこざだったのではないかと思うが。

路上では、まだ中年男が棒を構えて威嚇し続けている。

さらなる暴力が予想されるが、それは見るに忍びない。
そこで少し乱暴に網戸を開け放ち、わざと退屈そうに
ベランダに出て、路上を見下ろし煙草を一服、つけた。

男は驚き、一瞬こちらを見上げ数㍍ばかり後退ったが、
それでもなお、距離を保ち猫を睨み威嚇し続けている。
まるで小型犬が決して警戒を解かず唸り続けるが如く。

なのでこちらも、さも迷惑そうな態度で男を見下ろす。
男は煙草が終わる頃になってようやく踵を返して去る。
舌打ちをしたように思えたが、二度と来なければいい。

怒りに任せて不均衡な戦いを強いるなど、見たくない。

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