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2011.10.10

「何もない」に対する需要と供給

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毎年、秋になると必ず、散歩の頻度が急増する。
連休の真ん中の日曜は実家からドライブに出た。
たいてい行き先は当日になってから決めてるが、
比企丘陵から秩父あたりが、ほぼ定番コースだ。
川越から日帰りで往復できるし、まず飽きない。

20年30年も訪れているから道も覚えるものだが、
それでも時の経過は景色を少しずつ変えてきた。
新しく開通した道に入り込んで思わぬトコロに
出たり、路肩もなかかったような道が歩道つき
二車線になっていたり、川の護岸ができてたり、
自治体が新しく作った大きな施設が登場したり、
はたまた民家だったトコロが店になっていたり。

地元では、「何(の産業)もない地域」と言うが、
すぐに(物理的にも経済的にも)高いビルを建て、
視界を四角く埋めてしまう都会に疲れた人には、
そのコトこそホッとさせてくれるというもので、
休日には都会からの人たちが遊びに訪れてくる。
自家用車や自動二輪も多いが徒歩の人もいるし、
最近はロードレーサーを漕いで走る人も多いな。

そんな中で、気付けば増えてきたのが、喫茶店。
何かをしに来たのではなく、何もしない目的で
山里をブラブラしようとしている人には嬉しい。

今回は、普段より少しだけ山奥へ車を走らせた
ところ川辺の草原に椅子を出している店を見て、
秋晴れの空と涼しい風に誘われ衝動的に入った。
昼下がりの日差しが雲間から光の箭を射し掛け、
尾花の穂と川面が斜光線を乱反射させてくれる。
川向こうでは神社の祭礼が行われていて合図の
花火が刻を告げ、そして煙が風に流されてゆく。

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こういう店の経営は、決して楽ではないと思う。
平日に客が来るのは滅多にないので普通は休日
だけ営業、それも気候や天候で大きく左右され、
客の流れは読めず、収入など安定しようもない。
ただ自前の不動産を使って、自分たちで働けば
経費も安く抑えられるから、成り立つのだろう。

四半世紀も前から行きつけのようになっている
店の名を出したところ、店主も当然知っていた。
「あそこは老舗中の老舗」とのこと。その店が
(おそらく苦労は多いはずだけど)経営を続けて
いる姿は、地元の人たちの励みになったのかも。

そうして徐々に増えてきた「隠れ里的カフェ」。

土地の名産品を幾つ出せるか、といった勝負も
さることながら、都市近郊の観光地というのは
都市部にない存在感こそが強みになっていると、
地元の人たちも(また客たちも)気付いてきたか。

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