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2013/04/04

科学系ヨタ話(20) 黒スケかわいいよ黒スケ

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世界一周航海中の調査船がインド洋で採集してきた深海生物の見学会がある、
というので平日の昼間に雨の中を夏島の研究機構の本部まで行って見てきた。
以下、年度初めの平日の昼間に遊びに行ける「社会のクズ」によるレポート。

しかし残念なのが、水槽の透明樹脂が分厚い上に微妙な歪みがあったりして
AFも上手く当たらなかった(コンデジのコントラストAFの方が良かった)とか、
手ブレ補正が何故かオフになっていたり(後で気付いた)でロクな写真がない。

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見てきたのは「黒い方のスケーリーフット」。たいがい略して黒スケと呼ぶ。
印洋ど真ん中、海嶺三重点付近の熱水噴出孔から発見された「鱗を持つ巻貝」
かつ「硫化鉄を纏った生物」と、非常に珍しい存在として一部で人気の存在。

白いヤツも後に発見されたので、どっちか区別するため白黒つけるワケだが、
この白いのと黒いのの違いは硫化鉄コーティングの有無ほぼそれだけという。
でも原因が何なのかは、研究者の間で見解が分かれていて決着ついていない。

白と黒の生息場所は数百km離れた別の熱水噴出孔、それぞれ好むポイントは
割と緩やかなマウンド斜面と、垂直に近いチムニーの筒の壁と、微妙に違い、
もちろん水温や水質などもいろいろ違うなど、微妙に環境は異なるとのコト。

一方、遺伝的には、ほぼ同種とみなせるほどの差しかなく、鱗や殻の表面の
組成や構造も硫化鉄コートの有無を除けばほとんど一緒、体表に共生してる
微生物を分析しても現状では理由を特定できるほど違いが出てこない、云々。

果たして、スケ自体の性質の違い(同種といえるほどの僅かな差だが)なのか、
身辺に棲息する微生物の働きが違うのか、はたまた水温や水質などの環境の
違いが原因なのか、まだまだ今後も当分は探求が続けられていくコトだろう。

しかし現地は絶海の大洋ど真ん中。最寄りの港まで2~3日かかるというほど。
まず調査船が現場海域に行ける機会は限られるし、到着しても潜行して調査
できるかどうかは海況次第、今回はダイブ回数が計画よりずっと少なかった。

そして採集された黒スケは、その港から空路を経て日本へ送られたというが、
航空便の遅れが生じて到着までには予想以上に時間が掛かってしまったとか。
そのため輸送中の環境悪化で生きたサンプルの数は大幅に減っていたという。

というワケで仮説を立てて検証しようにも機会が限られてしまって難しいが、
まあそれでも非常に特殊性の高い生物だもんで、研究者たちも知的好奇心に
駆られて貴重な機会を捉えては謎に迫ろうとしている、というトコロらしい。

研究に携わっていない身としては、そんな現物を拝めるだけでも嬉しいけど。

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