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2015/05/17

人の心に浸透する根

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ちなみに、読んでいたのは中世日本という激動の時代について、特定
の地域を時間軸に沿って概観していくような内容。割と好みの切り口。

古代末期に社会制度のあちこちが劣化し、社会資本たる大寺院なども
手入れが滞って屋根が落ちたり壁が崩れるなど惨憺たる有様となって
いよいよ大修繕が必要というので都に近い里の山から材木を伐り出す。

修繕が成る頃には山は荒廃し盆地に洪水が頻発、既に形骸化していた
公領は制度のみならず耕地まで荒涼たる有様となってしまい、河川が
暴れて大きく流路を変えた後の土地で新たに拓かれた田畠は私有地化。

地力が回復するにつれ次第に寺院との結びつきが進んで荘園となって、
寺にあった自治の風潮が荘園にも伝播し、運命共同体となったものの
時代が下るにつれて収奪関係から対立も生じてくるようになっていく。

中世後半にかけて日本各地に勃興した悪党そして地侍が、この地でも
勢力を拡大し、寺から受け継いだ自治の気風と相俟って惣国一揆へと、
すなわち旧律令国全体規模での「主を戴かぬ国」として変貌していく。

この国での中世の終焉は、天下布武すなわち武力に基づく封建支配が
遂に及んだときだった。社会構造そのものを塗り替えるためには人々
そのものまで入れ替える必要があったのか、最後には虐殺も行われた。

だが一部の者は生き残ったのだろう、大寺院との結びつきは今に続く。

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それぞれの時代ごとに、それぞれに独特の雰囲気のようなのがあって、
ときには1~2世代ほどで大きく空気が入れ替わったりする場合もある。
だから「誰々の治世」みたいな言い方が理解に役立ちそうな気がする。

統治者あるいは軍事指導者や宗教指導者のような、人々の心の代表者
あるいは社会を動かす力の要となるような人物に、その時代そのもの
まで代表してもらえば「あの頃の人か」とイメージしやすそうなので。

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