理系用語で読み解く社会

2014.04.14

理系用語で読み解く社会(90) ヒト配置の自己組織化

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実家からの帰りの土曜夜の上り電車は、さほど乗車率は多くなかった。
休日によくある「つがい」や「群れ」の比率も少なく、多くの乗客が
単独行動で、ベンチシートの長い席を、一つおきに間隔を空けて座る。
そして列車が進むにつれ降りる客によって一つまた一つと空席ができ、
また新たな乗客が乗ってきては、同じく一つおきのポジションに座る。
何となく据わりが良いというか、落ち着く場所というのがあるのだな。

ヒトには見知らぬ個体に対し適度な距離を取ろうとする性質があって、
その距離というのは個体差が相当あるものだが、一方で最近の電車の
ベンチシートには一人分ずつの座面設定や2~3人分ずつの手摺の配置
などがあってヒトが安定して存在できるエネルギー準位は飛び飛びで、
その両方の作用が相俟って、ある程度のヒト密度の条件下においては
席一つおきのポジションが自然に選ばれるようになっているのである。

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2013.08.20

理系用語で読み解く社会(89) 圧力は全方向に向かうものだが

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圧力をかけた先がどこへ向かうかは制御するのが難しい。
適切な逃げ道を用意して他をしっかり塞いでおかないと、
思った通りの方向へ行ってくれない。しかも人間社会は
そんなに余裕があるワケでもないので、予想通りに圧が
抜けたとしても噴出した先に余計な被害を与えて反発を
招いてしまって、圧力をかけた側が同じ系を通じて逆に
圧力を受けるなんてコトも、まあしばしば生じるハナシ。

社会とは実質的に閉じた系。有限の地表面の上、さらに
細分化された国家の枠組の中で、政府や公的機関そして
多くの法人組織は内外のヒトビトに押されて動く状態だ。
右から左から交互に圧力を加えられて文字通り右往左往、
それだけならいいが左右同時に圧力が掛かれば終いには
あらぬ方向へ圧を放出する、なんてコトも珍しくはない。
もちろんこれでは誰も嬉しくない、誰も幸せにならない。

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2012.12.07

理系用語で読み解く社会(88) 鋳型と原型の関係

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人生観や死生観、家族観、世界観、社会観といった人々の考えは、
それを前提とした社会構造を作り上げていく原型のようなもので、
ある程度の構造が固まってくると今度は社会構造が鋳型となって
人々の考え方に強く影響を及ぼすようになっていく、ものらしい。

そして、異なる観点の存在は微妙に合わず居心地の悪さを感じる。

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2012.09.03

理系用語で読み解く社会(87) 体力が衰えたときには近隣からの感染症に注意

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島へ渡ったり、島を守れと発言するのが流行らしい。
そんな昨今ですが皆様はナショナリ済みでしょうか?
「えっ、まだナショナリ済んでないの? 遅れてる」
と近隣諸国に嘲笑されるネタなのだろうか、みんな
率先してナショナリズムに走ろうとしてるかの如く。

いやホント国境を越えて感染する伝染病のかような、
そのうえ予防接種はあるけれど効果は長く続かない、
過去に感染して免疫が出来ても変異が激しいせいで
一世代くらいしか免疫力は持続しないし、いったん
発症すると破綻しない限りは長く続く、そんな感じ。

他人のコトなんてどうでもいいというヒトの一面は、
縮む経済環境の中では強く表に出てきがちなもので、
そうして抵抗力の弱ったときには特に要注意である。
頭では分かってて気をつけているつもりであっても、
思っている以上に身体は弱ってたりするので用心を。

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2012.08.09

理系用語で読み解く社会(86) 「個体成熟は社会成熟を繰り返す」(反復説)

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年齢の問題ていうのはよくあるもので、たいがい若い頃は夢見がちだけど、
年を経るにつれて現実に打ちのめされてくるのか理想論を嗤うようになる。

自らの夢破れた苦い経験を重ねた挙句「そう簡単には実現しないよ」とか、
やっかみとか妬ましさとか、そういうのも多分に含んでしまいがちな傾向。

そういう成長・成熟そして老成・老耄というルートは誰にでもあるもので、
残念ながら殆どの人がソレを逃れるコトはできていない、というのが実態。

そういう性質があるというのを踏まえ(かつ例外があるのを見越し)た上で、
組織はどのように人材を配置すべきか、社会はどのような人をどのような
役割とみなすか、そういった考え方も有益なコトなのだろう、とも考える。

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2012.06.04

理系用語で読み解く社会(85) 世代テクトニクス

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土曜日は若い友達の結婚披露宴に参加してきた。
結婚式を挙げる友達との年齢差は次第に拡大し、
「御友人」の中では上の方になりつつある感触。

こういった特定の年齢域というのは、さしずめ
移動し続ける地殻プレート上のホットスポット。
これから新郎新婦の進む先に、幸あらんことを。

ちょっとスポットを外れて進んでしまった者と
しては、そんな風に考えてしまうのだけれども。

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2012.05.19

理系用語で読み解く社会(84) 温度変化に応じて、そう、変化するかもしれない

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特定の誰か(複数)ないし不特定多数の代わりに責任を引き受け、
当事者となるコトによって対価を受けるのが仕事、とも言える。

責任を引き受けたくないという心理は、誰にでもあるとは思う。
しかし引き受けねば仕事にならない、そこに折り合いが必要だ。

多くの人にとって落とし処となるのが「中流」なのだろうけど、
その基準は経済成長で上がるのに停滞しても下がろうとしない。

さしずめ金属を焼き入れするようなもの。冷えたら変わらない。
社会の場合は、温度変化に相当するのは景気動向のベクトルか。

だから前の世代に比して苦労を強いられている感がつきまとい、
「これほどまで苦労してるのに」的な怨嗟の気持ちが離れない。

しかも、金銭的に報われないと感じられる状況では、精神的に
報われないコトに対する負の感情が残留しやすくなってしまう。

そして普通に仕事をしていても精神的に報われるコトが減って、
報われぬキモチが発生しやすく充満しやすい環境へと激変した。

そこで不思議なくらい悪者を探したがるのがヒトの良くない点。
「それなりの責任を負っているはずなのに、何が悪いのか……」

そんな気持ちもあるのだろう、目立つトコロに綻びが見えれば
そこにいる連中を叩きたくなる衝動に駆られてしまう背後には。

とかそんな現象が今のニホンのヨノナカで進行しているような。

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2012.05.15

理系用語で読み解く社会(83) 動的平衡状態に落ち着こうとする心理

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日本人て「他人から妬まれないような生得の能力」を求めたりしてないか。
いやまあヒトは妬み深い性質も持っているので人類全般なのかもしれんし、
あるいは土地や物品、貨幣の所有といったトコロに根源があるかもしれん。

人間てのは結構ワガママな存在だもんで、物質的に恵まれるだけでなくて
精神的にも恵まれたい他者に認められたいといった欲求も非常に強くある。
しかも、この欲求というのがまた複雑に絡み合っているのが厄介なもので。

以前、友人との電話で「『善人』と『自分に正直』は両立するのかという
話題になったコトがあるが、「善人であろうとする自分に正直」であれば
容易に両立できるし多くの人がそれを求めているのではないか、と考える。

「自分に正直」と組み合わせるのは、「悪人になりたくない」でもいいし、
「知識や知恵を持つ者でありたい(と思われたい)」とか「回答を示せる者
でありたい」「冷静でありたい」「世間や現実を知っている者でありたい」
など、まあいろいろな要件が考えられるし、それらの複合もあり得るはず。

ネット上の言説を見ていても、「ロハス」という言葉について「文明批判
する賢い自分と、環境意識高い自分と、無欲でクリーンな自分」を手軽に
「ろくに勉強しなくても」アピールできるから良い、という指摘があった。
こういう多彩な欲求を同時に満たしてくれる用語は重宝されるのだろうな。

「正義感がある(と見せたい)自分」に正直だというのもまた厄介な存在だ。
そもそも正義感そのものが発動の際にはリスクも伴って非常に扱いづらい。

そもそも正義感からは怒りなど暴力的な感情が発せられがちで、その暴力
というのは単体で取り出せば非正義となる、つまり構造的に矛盾した感情。
それに加え相手の反撃を招くことから自分自身もダメージを受けかねない。

だから迂闊には表面化できず、当人の中で鬱積してしまっていたりもする。
しかもそこに他の理由(不当に不遇を被っているといった個人的な感情)に
よる怒りまで混ざり込んで、処理できぬまま異常発酵している人もいよう。
いつしかそこから大量のガスが発生して圧が高まり、爆発寸前にまで至る。

「正義感があると見せたい自分」は、基本的に「悪人になりたくない自分」
の一部を成しているため、「正義感があると見せたい自分に正直」を発現
するコトが許される状況は、非常に限られた条件下でしか成り立たぬもの。

ときたま「相手が絶対悪」(に加えて多くの場合は「反撃がないか弱い」)
とみなせるような情報が、マスメディアや噂を通じ断片的に伝わってきた
ときが、溜まった「義憤」を発散し溜飲を下げる貴重な機会というワケだ。

ヨノナカの多くの人が「義憤」を溜め込んでいるような時代には、それが
寄り集まって非常に苛烈な、残酷な攻撃となって、一点へと集中していく。

すると「皆が叩いているから悪」という短絡まで生じて、さらに拡大する。

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2012.05.14

理系用語で読み解く社会(82) 遊びのない歯車は噛み合わせが難しい

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ネット上での噛み合わない議論を「言葉遊び」と称して逃げるのは簡単だ。

文系の人たち、中でも哲学宗教心理方面とか漠然としたモノゴトを厳密に
定義して理屈として語るような訓練を受けた人たちに目立つように思える
のだけれど、それは単に理系出身者だから彼らを理解できていないせいか。

しかし現実に存在する問題の多くは輪郭も見極められなかったり、中心が
何処にあるのかも明確にできない、ただボンヤリとした分布だったりする
もので、そういうのは理系的に程度を見極めるなどの手法が合いそうだが。

まあそのあたり、理系文系なんて分類をするのも言葉遊びのようなものか。

知らない用語を使ってるのを見掛けると、何か物凄い高度なコトを語って
いるように感じられてしまいがちなのが人間というものであるらしいけど、
でも調べてみたら何のコトはない用語だった、というのは往々にしてある。

実は大した意図があって使っているのではないのかな、と思えてしまって。
ひょっとしたら、単なる思考コスト節約の目的で、漠然としたイメージを
ちょっとクールっぽい単語で示してみたりしているだけなのではないかと。

そう感じられるようなケースは、ネット上の遣り取りで幾度ともなく見た。
結局、適当なレッテルを貼ってる人がレッテル通りの存在に見えてしまう。

それはまあ、ひょっとしたら受信側の誤解なり理解不足などもあるのかも
しれないのだけど、しかし知識と知識の比でいえば前者が過大であったり
すると単語に振り回されやすいという、それだけのコトが多いように思う。

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2012.04.23

理系用語で読み解く社会(81) ゑひてる媒質論

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ヨノナカを伝わってくる情報の大半は他人を媒介として伝わるもので
媒質となるヒトの能力や思想信条フィルタ、意志や感情に影響を受け
受容されなかった部分や伝達されなかった部分は失われるし中継する
際には脚色が加えられ、しばしば受け手の感情を揺り動かそうとする
性質が元の情報より大幅に強化されているコトも多いので警戒が必要。

しかもヒトの生物学的特性に由来するのであろう、特に素朴な怒りや
無垢な哀しみといった部分は情報の中でも媒質に吸収されやすくかつ
伝達されやすいし、媒質としても最も脚色したくなるトコロなワケで。
むしろ元情報を溶媒で抽出して感情エキスを濃縮するようなものかな。

なにしろ、ちょっとした文章の違いだけでも、というより文脈の上で
容易に示すコトができてしまうのが感情というものであるからにして。

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