
(つづき)
その名簿といえば、学校時代の名簿だとか、学会員の名簿を利用した
と思われるダイレクトメールが届いた経験もあって、どうも胡散臭い。
のだけど、よくよく考えてみれば、たとえば学校のクラス名簿などは
少なくとも学校と保護者が共有している情報、学会員の名簿となれば
学会の事務局や会員が共有している情報、さらに学校や学会事務局が
外部事業者にサービスや商品を発注する際にも利用されていたりする。
名簿業者のビジネスは、こういったのをほぼ公開されている情報だと
見倣し、何処かから入手して売買するなどしていたのが発祥だろうか。
もちろん、これに対し情報の悪用ではないかとの指摘は昔からあって、
白眼視されているのを察してか業者も目立たぬ形でビジネスをしてる。
そして、関連する規制は若干あるものの、そこに厳密には触れぬ形で
グレーゾーンの中に身を潜めるようにして、需要に応えてきたのだな。
たしかに関係者に配られたりしていて機密情報とは言い難い面もあり、
昔には氏名住所電話番号くらいなら電話帳に載ってたりしたワケだし
内容そのものは公開されている情報と同一、ただそれをちょっとした
材料により条件つきで絞り込んだだけ、みたいな考えになるのだろう。
そいつを誰かが売ったか、あるいは廃棄した名簿を名簿業者が拾って
利用しているのか、“仕入れ”の方法には、いろいろあるのであろう。
特に後者、学年が進んで不要となったノートや教科書と一緒に束ねて
紙の名簿を捨てるなど昭和には普通だったので、ありそうなハナシだ。
名簿情報だって、商品ないしサービスとしてみれば他の商品と同じく
当然ながら質(情報の精度や鮮度)が良く量が揃っているものほど高く
売れる傾向のはずだ。さらに、買い手のターゲットに合致しているか
どうかという点が、需給バランスによって値段を左右することだろう。
児童向け教育商材事業などは学年の一つも違えば対象が変わってくる
ワケだから、どれだけピンポイントで提供できているかも大きな要素。
そういう意味で、学校の児童生徒の名簿などというのは極めて上質な
情報ソース。児童向け教育商材は潜在顧客たる児童数こそ減っている
ものの単価の上昇傾向が強いらしいから、市場の傾向ともマッチして
質の高い学童名簿のニーズは、さぞかし高まっているコトなのだろう。
そして名簿業者には、どうも出元を問わず売買する慣習があるように
見受けられる上に、業者間での情報売買も頻繁に行われているらしく
情報ソースは余計に曖昧になる構造がある。グレーなビジネスだとの
認識ゆえかもしれんが、それゆえたまに今回のような事件にも繋がる。