試小説

2011/07/23

試小説(12.7) 「太郎を待ちながら悶々と」後編または結の章

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村人たちは喜びに沸いた。
「これでようやく、静かな生活に戻れる」
そして、村長も安堵した。
「これでようやく、静かな生活に戻れる」

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2011/07/22

試小説(12.5) 「太郎を待ちながら悶々と」中後編または転の章

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そんな村長の脳裏を、ふとよぎる昔の記憶。
太郎が幼い頃にも、ちょっとした騒動があったのだ。
ちょうど同じ頃、夏の盛りだった。

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2011/07/21

試小説(12.3) 「太郎を待ちながら悶々と」中前編または承の章

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村外れの貧乏な、半ば孤立したような老夫婦の拾われ子といっても、狭い村の中の出来事、太郎が村を離れた事実は、一両日の間には村中の皆が知るトコロとなっていた。もちろん、その目的も(過剰な期待を大量に含む憶測を交えてではあるが)、また村長が非公式に支援して送り出したというコトも、ほとんどの村人が知っていた。

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2011/07/20

試小説(12) 「太郎を待ちながら悶々と」前編または起の章

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その村は何年も前から財政が苦しい状態が続いており、村長は徐々に衰えの見えてきた初老の身体に鞭打ちながら、その立て直しに苦慮していた。村長は村で一番の長者の家の当主でもあり、自分の一家の経営も堅実を旨としていたが、村の財政のあまりの厳しさに持ち出しも多く、家運さえ傾きかねない有様だった。

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2011/05/31

試小説(11) 三匹の子豚が編み出した危機対応に学ぶ

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あの「三匹の子豚」の寓話に、広く流布している説とは別に
異説が存在しているコトなど、ほとんど全く知られていない。

そのハナシは非常に現実的であり、むしろ真説と呼びたい。
そこで今回は、その真説の概略について簡単に紹介しよう。

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三匹の子豚が親元を離れ、新たな生活を開始する場面から
物語が始まっているのは、真説でも通説と全く同様である。

親の庇護下を離れて社会に出れば多種多様なリスクが身の回りに見え隠れする。
そんな社会で生きながらえるためには子豚たちも自らの身を守らねばならない。

ましてやヨノナカに出たばかりの子豚たちというのは、
捕食者たちからみれば非常に狙いやすい獲物でもある。

まず最初に子豚たちが着手しなければならないコト、
それはまさに自らの身を守るための環境整備だった。

一匹目の子豚が脆弱な住居を作らざるを得なかったのは、
狼の気配が近くにあって急を要していたからに他ならぬ。

藁を積み上げるだけの単純かつ低コストな隠れ場所を作るのは、
彼らの匂いを一早く嗅ぎ付けた狼が迫り来るまでに間に合った。

捕食者の荒い息遣いが尻尾に触れるくらいのキワドいタイミングで、
一匹目の子豚は自ら積んだ藁の中に身を隠すコトができたのである。

もちろん、そんな簡易な避難所などで完全には身を守りきれなかったのは、通説と変わらない。
獲物の匂いを至近に嗅いで興奮した肉食獣は、(鼻息などではなく)前足で藁を掘り返していく。

子豚も藁の山の中を潜りながら反対側へと必死に逃げていき、ついには避難所の向こうへ出てしまう。
これでは予算や時間の無駄だという批判もあろう。しかし即座に捕食されるコトを免れた点は大きい。

もっと重要なコトがある、一般的な風説では決して語られないポイントだ。
実は子豚たちは迫り来る脅威に対して各個に対応していたのではなかった。

藁の避難所での追跡劇は、他の子豚たちのための時間を稼いでいたのである。
他の子豚にとって、より頑丈な住居を建てるコトを可能にする貴重な時間だ。

そこで二匹目は、この僅かな時間を使って手近な木材をかき集め、
身を守るための設備を建てた。言うなれば仮設住宅というトコロ。

しかし読者の皆さんは、もうお気付きだろう。
仮設住宅もまた、時間稼ぎの一環であったと。

「もしこれで耐えられなかったとしても三匹目がより強固な住居を作ってくれる」
だからこそ二匹目は適切な構築期間と適度な強度のバランスを目指したのだった。

三匹目が作るのは、言うまでもなく恒久的に使える堅固な住居だ。
時間をかけて計画を練り上げ、予算を注ぎ込んで構築していった。

狼の脅威は、三匹目の子豚が作り上げた煉瓦造りの住居で防ぐコトができた。
この話では、幸いにも彼らの多重の備えが功を奏してハッピーエンドとなる。

しかし臆病かつ現実的で知恵の働く子豚たちは、
今回の対応に決して安心していたワケでもない。

「もし、この備えで足りなかったら、どうなっていただろう」
というのが生きながらえた子豚たちの共通した認識であった。

いや、ひょっとしたら四匹目の子豚がRC造のビルを建てたり、
五匹目が地下壕など掘っていたりしたのかもしれないけれど、

そこは結果として子豚たちにとって「予算の無駄遣い」
だったワケで表立って語られるコトはないのだろうな。

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2011/05/16

試小説(10) 抜きん出る者たち/引き抜かれるほどの実力者

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「ヨノナカは狭い。真っ直ぐ生きれば、すぐ壁にぶち当たる」
「だからみんな、誰も彼もが、ねじ曲がって生きているのさ」

そこは年中薄暗くて、強い風が吹き荒れる洞窟の中、であった。
それも、蒸し暑い風と冷たく乾いた風が、季節によって変わる。
しかも過密で、少し動けば、すぐ隣のヤツとぶつかったりする。

「ああ、あっちでは酔っ払ったルンペンぽいジイサンと、
サラリーマン風の若い男とが、絡み合っていたりするよ」

「こんな場所で、何も変わり映えしない毎日を続けて、
そのまま日陰者として、一生を終えるなんてのは嫌だ」

「どうやったら抜け出せるんだろう」

洞窟から抜け出したい一心で頑張って頑張って、
実力を伸ばし周囲から抜きん出るまでになって、
ようやく明るいトコロに顔を出したと思ったら、

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2011/04/28

試小説(9) 社会断層の活発化による余震や誘発地震に注意

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今回の地震は非常に巨大で震源域も非常に広大であったことから、震源域周辺の社会構造における余震活動、も大きな規模かつ広範囲で長期間続くものとみられています。
また、日本列島の社会構造の中には、長年のひずみが蓄積している箇所が数多く存在していることが確認されています。こうした場所では、今回の大地震に伴う地殻変動で応力場に変化が生じ、蓄積された力が解放される可能性が高まっていると考えられます。こうした震源域以外での社会構造における誘発地震は、余震よりさらに広い範囲で発生が続くと考えられ、一般的な余震より大きな規模で生じる可能性も否定できません。
社会基盤における余震および誘発地震は、今後数年間から十数年間程度は続くものと考えられており、引き続き注意が必要です。(気象徴)

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2011/04/01

試小説(8.5) 【速報】直接被災地外において不信感染症の流行の兆し

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2011年3月中旬より、東京など大都市部を中心として不信感染症の感染が拡大する傾向がみられます。3月31日までに確認された感染者の内訳をみると、抵抗力の低い若年層から働き盛り世代にかけての患者が多くみられます。過去にも、こうした患者が感染・発症に気付かず通常の社会活動を営むことによって他の世代への感染が広まったケースが数多く報告されており、今後は本格的な感染拡大が懸念されているところです。

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2011/03/31

試小説(8) 【お知らせ】エイプリノレフーノレ自粛について

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被災された皆様には心よりお見舞い申し上げます。

今般の社会事情に鑑み、弊社では毎年ほぼ恒例となっている4月1日の行事を自粛することにいたしましたので、お知らせいたします。
なお、本行事につきましては中の人のストレス解消を大きな目的としたものであり、それに代わる行事を、別途検討中です。
他にも楽しみにしていた方などおられないかと存じますが、代案にご期待の上、ご了承いただければ幸いに存じます。

また、自粛や買い控え機運に由来する経済状況の悪化により、今後は弊社の経営にも甚大な影響が及ぶものと思われます。
今後は、経営状況への影響度の把握に努め、可能な限り悪影響を抑えるよう、迅速に施策を実施していく所存です。

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2010/08/15

試小説(7.5) 謎の資料と配られていた葉書

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聞き取り調査では、男が何をしようとしているのかを見極めるのが困難だった。
その後、男の持っていたメモが発見されたことで、調査は大幅に進展するものと思われた。

しかし……、その内容は、まるで何を意味しているか分からなかった。
この文章は何かの暗号、なのだろうか。
それとも単なる思い付きの走り書きだったのだろうか。

謎を解く鍵は、街中で配られていた葉書にあるのかもしれない。

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